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1週間だけの里親をご存じですか

あけましておめでとうございます。

堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

皆様におかれましては健やかな新年をお迎えのことと、お慶び申し上げます。

 

さて、2025年の最初のブログです。

 

何について書こうかな・・と思いましたが、昨年12月の議会でも取り上げ、議会活動報告チラシの最新号でも記事にしました「短期養育里親」について書こうと思います。

※「短期養育里親」という制度があるのではなく、「養育里親」という制度の中で、「もっぱら短期間の養育のみで活動している里親」がいて、ここではその方々をこのように呼ばせてもらいます。私と妻もそのうちの1組です。

 

「1週間の里親」をご存じ?

「里親」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?

 

おそらく「大変そう!」「責任重大!」と思われるでしょうし、時にテレビで紹介されるような「感動のドラマ」をイメージするかもしれません。たとえば、テレビ番組のタイトルもこんな感じですしね。

※愛媛テレビより

※フジテレビより

 

私と妻は3年半ほど前に養育里親として登録し、それ以降、11人の里子を預かりました。

この間、里親制度について人と会話する機会も増えました。そこで「知らんかったわー」と一番驚かれるのが、「1週間の里親」です。

 

どうしても「里親」と聞くと、「大人になるまで育てる」「自分の子どもにする」という印象が強いようですが、実際は数日、あるいは数週間程度の短期間だけ養育するケースも少なくありません。

実際に私が預かった11人のうち、「養育期間が1週間以内」という子が7人でした。そして、最長の子でも2ヶ月弱。

また、堺市全体で見ても、昨年度の実績では、「1週間以内」の子が約半分、「1週間~1ヶ月以内」が約2割でした。

皆さんが想像していたより、ずっと短期間が多いんじゃないでしょうか?

 

短期養育に至る理由

里親への委託理由として「虐待」をイメージされる方が多いかもしれませんが、短期養育で多いのは、「里親のレスパイト」「シングルやワンオペの母の入院や体調不良」です。私の11人の実績で言えば、それぞれが5人ずつでした。

虐待等が理由で長期間にわたって里子を預かる里親さんも、その時々で里子を看られない期間が発生することがあります。ご自身の疲労や疾病、冠婚葬祭、旅行等、理由は様々です。

私が預かった中では、里親宅の実子がストレスを溜めてしまって・・というケースもありました。

 

母親の体調不良や入院では、子育てで苦労されてメンタルが・・という方もいらっしゃいましたし、出産や持病の手術という方もいました。出産や手術だと、あらかじめ「〇日間」と決まっていることが多く、受け入れるこちらとしても比較的気が楽です。

短期養育里親を広めたい理由①

私はこのような短期養育里親の実態を、世間に広く発信したいと思っています(だからブログにも書いています)

 

その理由の一つは、「それならできるかも」と思う人が1人(1組)でも出てきてほしいからです。

 

「大人になるまで育てる」「何年も長期にわたって預かる」となると、すごくハードルが高いですよね。私にはとてもとてもできません。でも、それに比べると「1週間の里親ならハードルが低い」と感じる人もいるはずです。

 

里親登録にあたり、預かる条件をつける(子ども相談所に希望を伝え、配慮してもらう)こともできます。

堺市の養育里親の登録者数は68組ですが、そのうち「短期」のみの受け入れを希望しているのは18組です。全体の1/4ほどしかいません。

本来ならハードルの低い短期の里親がもっと多くなりそうなものですが、そうではないのは、「いかに短期養育里親が知られていないか」の証左でもあると思います。

 

ちなみに私は「短期」に加え、「預かれる子は、末っ子より小さい子」という条件も付けています。末っ子の性格や希望を考慮してのことです。その時々で「多忙」を理由に受け入れを断ることもあります。

 

堺市では里親が足りていません。日本全体でもです。

こうした発信を通じ、「想像していたよりは重たくないな」と、まずは短期の養育里親に関心を持ち、実際にやってくれる方が出てきたら嬉しいです。

それによって助かる子ども、助かる家庭があります。

 

短期養育里親を広めたい理由②

二つ目の理由は、短期養育里親の実態を通じ「長期里親もレスパイトが可能」だと知って頂きたいからです。それが、長期里親へのハードルを(少しは)下げることにつながるからです。

すでに里親をされている方なら当然ご存じのことですが、「興味」の段階の方だと、「レスパイトできる」と知らない方が大勢いらっしゃいます。そこで里親を諦めてしまう方もいます。

 

里親をするというのは、相応の責任を伴うものではありますが、かといって「里親だけで責任を負う」というものでもないと、私は思います。

長期の里親は、その養育の「主たるプレーヤー」には間違いありませんが、「唯一のプレーヤー」ではありません。子ども相談所の職員や、私たち夫婦のような短期養育里親も含め、チームで養育するのです。

子育ては社会全体で助け合ってするものです。それは実子でも同じことですが、里子ならばなおさらです。

 

また、短期養育里親を経験した上で、長期に移行される方もいますから、長い目で見れば、短期養育里親を増やすことが、里親全体を増やすことに繋がるはずです。

 

短期養育里親を広めたい理由③

三つ目の理由は、子育てに苦労している方々に、「いざとなったら預かってくれる家庭がある」ということを知ってほしいからです。

 

子育てに苦労しない家庭はほとんどないと思います。

「1日くらい、子どもと離れてのんびりしたい」と思ったことはありませんか?

「思う」くらいならともかく、精神的に参ってしまって、それが子どもにも悪影響を及ぼしているケースもあるでしょう。時にその先、「虐待」が起こることもあります。

 

そんな時は「しんどい」「参った」という段階で、迷わず子ども相談所と里親家庭を頼ってほしいのです。

あるいは実際に頼らずとも、「頼れるところがある」と思うだけでも気が楽になるかもしれません。

 

一方、子ども相談所が「養育が困難」と判断し、入院や治療を促しても、「里親家庭は嫌だ」と拒否し、施設入所を求めるケースがあります。「里親に子どもを取られる」と思ってしまうようです。私自身、預かる予定だった子がそのようなな理由で来なくなったことを経験しています。

これもまた、短期養育里親の実態が知られていないがゆえでしょう。

子どもにとっては実親の元を離れるだけでも負担なのに、その先が家庭ではなく施設となると、そのギャップは大変なものです。

子どものためにも、短期養育里親を知り、そして、いざとなったら使ってほしいと思います。

 

広めるための提案

短期養育里親を増やすために、私は具体的な政策提案も行っています。それは、「特例的な『二重登園』」です。

 

すでに在籍している保育園(子ども園)があれば、基本的に別の園には通えません。

短期養育里親をやっていると、いくら「短期」とは言え、それが数週間、1ヶ月以上、、、となってきますと、日中にどうしても保育できない時間が発生します。里親・里子共にストレスも溜まります。そんな時に、保育園にも通えたら助かります。

 

しかしです。

 

たとえば、在籍園(実親のもとで通っていた園)が里親宅から遠すぎて通えない

あるいは、実親が一時保護に反発していて、在籍園に行くと取り戻しに来られる可能性があるため通えない

などということが起こりえます。

 

在籍園以外の園を利用するには、在籍園との契約を解除せねばなりません(実親の同意が必要)。実親が反発しているケースでは不可能ですし、そうでなくとも、実親の元に帰った時に実親がまた保育園探しから始めないといけなくなりますから、それは安易にすべきではないでしょう。

 

「一時預かり」であれば在籍園以外でも利用できますが、その場合の保育料・日額数千円は里親負担になってしまいます。

 

私は、このような福祉的な理由がある場合に限り、特例として二重登園を認め、公費で負担する制度があるべきだと思っています。

「短期養育里親も保育園を使える」という担保があれば、共働き家庭がグッと里親登録しやすくなりますし、子ども相談所も里子と里親のマッチングが楽になるはずです。「この里親さんは在籍園まで遠いから」と諦めることが減りますからね。

 

私の試算ですが、必要な予算は年間で100万円未満、多くても200万円までで事足ります。短期養育里親を増やすための、画期的な取り組みになると思っています。(議会で提案済み)

 

短期養育里親の雑感

私の家庭の場合、里子が来た時にその苦労の多くを妻が担っているので・・、私はあまり大きなことは言えませんが、

 

(少なくとも「短期」であれば…)里親は大変だけど、楽しい!

 

というのが実感です。

 

他人の赤ちゃんを見て、「抱っこしたいなぁ」とか、「うちの子もあれくらいの時に戻ったらなぁ」とか、ふと思ったことはありませんか?

とは言え、本当に「子どもをもう1人」なんてのは大変です。

私もそんな気持ちに駆られることがたまにありますが、里子が来てくれると、それも満たされる気がします。

※満たされてそうでしょ(笑)?

 

子ども相談所から受け入れ要請の連絡があるたび、「大変だ、大変だ」と思いつつも、家族全体がなんとなく高揚感に包まれます。

 

三人の実子は、その子の特性や、その子との相性によってストレスを抱えることもありますが、三人の成長につながっていると確信しています。

 

念のため、いくつか補足しておきますと、

 

・養育期間中は里親手当が出るので、経済的負担はありません

・里親になるには研修が必要です。

・シングルの方や、同姓カップルの方、高齢の方(※)でも里親になれます。

 

(※)法律上も子どもにする(=大人になるまで養育する)特別養子縁組里親には、年齢や健康状態によってなれない場合があります。

 

もしご興味のある方がいれば、気軽に子ども相談所にお問い合わせください。

※堺市子ども相談所ホームページ

https://www.city.sakai.lg.jp/yoyakuanai/bunrui/fukushi/kenkofukushi/kodomosodan.html

 

私も、ご質問があれば、わかる範囲でお答えしますので、遠慮なくご連絡ください。

 

子どもや子育て家庭を支える社会の輪が広がることを願っています。

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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