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隣の芝生は青くなかった

先日、大阪府教育委員会と電話でやり取りする機会があった。

「隣の芝生が青い」というわけではないが、普段、行政をチェックする立場として、自分の自治体の悪いところはやたらと目につき、気になるわけで、他の自治体の問題点を意識する機会は、それに比べると、多くない。

しかし、いざ、仕事でやり取りをしてみると、けっこう他所もいい加減だったりして、むしろ「堺はマシかも、、」と思ったりもする。

そんな、出来事を一つ。

大阪府に「子どもを守る 被害者救済システム」というものがある。(大阪府教育委員会の所管)

簡単に言うと、教育現場で、子どもが体罰やいじめやセクハラなど、何らかの被害を受けた時、第三者がその相談に乗ってくれるというシステム。
学校はもちろん、教育委員会も、一方の当事者なわけで、こういう第三者の相談窓口は大事だと思う。

で、その相談窓口の現場の相談員の方から、こんな相談があった。
「このシステムの対象に堺市が入っていないので、堺市で独自でこうしたシステムを作るべきではないか。」と。

なるほど。大阪府がやる行政サービスに、大阪市や堺市などの政令市が除外されるケースは、よくあり、きっとそうなんだろう。
堺市ではなさそうだし、取り組んでみようかな。。。

と思ったものの、とりあえず、現状確認のため、大阪府のホームページで、この被害者救済システムについて、情報収集を図ると、、、

ホームページの同システムの解説ページのトップには、、、対象として「大阪市を除く」と書かれている。(えっ、てことは、堺市は対象?)

ところが、同システムのパンフレットのPDFが貼られており、それを除くと、、、対象は「政令市を除く」と書かれている。(どっちやねん!)

やむを得ず、問い合わせ先として記載のある、市町村教育室高等学校課生徒指導グループに電話してみると、

「うちではありません。小中学校指導課が担当です。」と。

出た!たらいまわし!
担当課が変わったなら、ホームページを更新せいよ!

と思いながらも気を取り直し、担当課にまわしてもらい、私は訊ねた。
「違う記載があるが、対象は『大阪市を除く』なのか『政令市を除く』なのか?」

すると、電話口から驚きの回答が。
「大阪市も堺市も対象です。今年度からそうなりました」

記載が両方ともが、間違いだったとは!!

結局、確認していくと、この救済システムは、

大阪府下全市町村 → 大阪市を除く市町村 → 政令市を除く市町村(堺市の対象外に) → 再び大阪府下全市町村

という風に変遷し、ホームページの更新が最新になっていないどころか、記載がバラバラになっていたのだ。しかも担当課も更新されず!

さらにひどいのは、それが現場の相談員にフィードバックされていなかったということだ。
(相談員の方は、「堺市が対象外」だという認識で、私に相談してきた)

そして、私は堺市教育委員会にこの話をした。

すると返ってきた答えは、
「なんですか?その制度は?」

!!!
大阪府教育委員会は、当事者である、堺市教育委員会にも、この制度を伝えていなかったのだ。

堺市が対象から外れる時、戻った時の連絡はおろか、どうも、この制度そのものをハナから伝えていなかったようだ。

相談内容によっては、現場の学校とやり取りするケースもあるはず。その現場を所管しているのは、市町村の教育委員会。そこと連携していないようでは、絵に描いた餅になりはしないか。
さらに言えば、市町村の教育委員会に伝えていないということは、現場の学校にも、そして保護者や子どもたちにも、まともに伝わっているはずもあるまい。

私の知人の相談員さんに聞くと、それなりに相談は寄せられているようで、おそらく、ホームページなどでたまたま見つけたり、あるいは口コミで知ったりしたのだろう。

せっかくのいい制度も、しっかりと周知して、適宜メンテナンスをしなければ、いいものにならない。
そうしたことをせずに、「制度を作ることが目的」と思えてしまうものが、あったりもする。今回の大阪府教育委員会の対応は、まさにその典型だろう。

これを他山の石として、堺市でもこんなもったいないことがなされないようにせねば。
また、この被害者救済システム自体は素晴らしいものなので(と思う)、堺市でもうまく運用されるよう、周知を図りたいものだ。

堺市議会議員   ふちがみ猛志

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