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児童虐待を「防止」しよう

大阪府子ども虐待防止アドバイザーの辻ゆきこさんに、個人的に時間をもらい、レクチャーをしてもらいました。

辻さんが実際に関わった他自治体の先進的な取り組みを知ることができましたし、私自身がこれまでに感じてきた(訴えてきた)ことと共通する内容も多く、それらに確信を持つこともできました。有意義なレクチャーでした。

レクチャーの資料の冒頭がこの絵。 

児童虐待対策の話になると、「躊躇せず保護を〜」「警察と連携して〜」「そのために人員を〜」と、虐待が起こったあと、あるいはすでに起こりかけている状況へのアプローチがほとんどです。

しかし、これでは絵のように、バケツをいくら用意しても足りません。

大事なのは蛇口を閉めることです。

児童虐待「対応」ではなく、児童虐待「防止」です。

具体的には、

育児に課題のある家庭をピックアップし、適切な支援につなげる取り組み。例えば、乳幼児のいる家庭への訪問事業です。

さらに遡れば、将来、その家庭の課題となりうることを未然に防止する取り組み。例えば、養育費の支払いを推進することです(ひとり親家庭の経済的課題の未然防止)。この点は、明石市が先進的と言われています。

さらにさらに遡れば、望まぬ妊娠を防ぐための取り組み。例えば、性教育の強化です。辻ゆきこさんは、特にこの性教育に加え、さらには「生きること」の価値を教える「生・性教育」について、熱心に訴えていらっしゃいました。

そしてその一連の取り組み全般を支えるのが、「地域全体での子育て支援」「学校支援」です。

こうした取り組みは、実に多岐に渡りますが、数百万円オーダーの予算でできることや、あるいは予算いらずの「工夫」だけでできることもたくさんあります。

永藤市長はこのほど、堺市の子ども相談所の人員を「3年で2倍」にすると発表しました。

ざっと年間4億円の人件費増です。

虐待対策に対する決意は立派なものだし、私も増員が必要だと思っていますが(訴えてきましたが)、いくら何でもこれは急激に増やし過ぎで、新人だらけになって、逆に現場に負担がかかりかねません。

ならば、それを現場と足並みを揃えながらの、もう少し緩やかなものにすれば、その分の予算や人的リソースを、先に述べたような川上の児童虐待「防止」対策に振り向けることもできるのではないでしょうか。(もちろん、増員計画を調整せずとも、それに比べれば、わずかな予算でできる施策ですから、やる気次第でできるでしょう)

 

児童虐待対策への思いが強い(と私は信じたい)市長だからこそ、こうしたきめ細かな提案をしていくつもりです。

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

意見・提案