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コロナ対策の補正予算成立

昨日、臨時議会が開催され、コロナ対策の補正予算案が審議され、可決成立しました。

 

国から全国の自治体に一括交付金が支給され、堺市でその額は約57億円!

これだけのお金を、一から堺市で使い道を考えられるというのは、あまり例のないことだと思います(堺市の1年間の予算は4000億円ほどですが、そのほとんどは使い道が決まっていますからね)。

この額にピンとこないかもしれませんが、例えば、仮に全市民にこれを全額現金で配ると、市民1人あたり7000円ほどです。「たいしたことないなぁ」と思われるかもしませんが、これを特定の属性の人に絞ったらどうでしょうか?

仮に堺市の全小学生、中学生、高校生に配るとすれば、全市民のおおよそ1/10になり、1人あたり7万円です。なかなかの額ですよね?

これをさらに絞って100人に1人にすれば、1人あたり70万円です。かなりの額になりますね。

その57億円を、どういう属性の人(子ども?高齢者?障がい者?全員に薄く?等々)に、どういう形(現金?サービス?等々)で届けるかというのが、知恵の絞りどころであり、「地域事情がわかっている市町村が判断せよ」と国が言っているわけです。

 

その補正予算は約50項目。

一言で言えば、「玉石混交」でした。

 

そこで、

■全体としてよかったこと

■よかった事業

■いいんだけど微妙な事業

■全体としてよくなかったこと

の順で挙げたいと思いいます。あくまでも私見です。

 

■全体としてよかったこと

市長の「聴く姿勢」です。

今回の補正予算にあたっては、市長本人が各会派との意見交換の場を設け、私たちも要望書を提出しました。通常の年間予算ではよくある光景ですが、それはセレモニー的な色彩が強いものです。しかし今回に関しては、維新だけではなく、公明や自民、私たちの会派(堺創志会)、そして共産党の要望からも、補正予算に取り入れたものが少なからず見受けられました。

議会は多様な市民の声を代弁する機関ですから、自身の所属政党に限らず、広く声を「聴く姿勢」は、市長として非常に大事であり、今後もその姿勢を貫いていもらいたいものです。

 

■よかった事業

①スクールサポーターの追加配置等

学校現場がコロナ対応で大変なことになっています。毎日、先生方が机やイスを消毒したり、普段は子どもがしているトイレ掃除まで担わされたり(トイレ掃除は水撥ねで感染リスクがあるから、子どもではなく、教員がせよとの、私には理解できない方針)。

長期休校、夏休み短縮、ほぼ毎日6時間授業等々、ただでさえ子どもたちが安定しづらい状況の中、「子どもと向き合うこと」以外に、多くの時間を要するのは、子どものためにもならない!それ以外の業務は、できる限り、教員以外でカバーするべきです。

そこで、学校現場を支えるための人員増強を要望し、補正予算で採用してもらいました。懸案のトイレ掃除も、業者へ委託することになりました!

 

②4月28日以降に生まれた新生児への5万円支給

国の特別定額給付金(10万円)の支給は、4月27日生まれまでが対象です。

支給対象にならない子どもへの支給ということで、国の制度の隙間を埋めるいい取り組みだと感じました。これは、他会派からの要望だったようです。

 

他にもいくつか目を引く事業がありましたが、長くなるのでこれくらいで。

 

■いいんだけど微妙な事業

「おでかけ応援」と「堺魅力再発見」です。

前者は、高齢者が100円でバスなどに乗れる「おでかけ応援バス」の、100円の負担をなくして、一定期間タダにしようというものです。

後者は、市民が市内の観光スポットを巡るのに特典を付けるというものです。

高齢者のおでかけ促進や、市民が地元の良さに気づくという主旨はいいことなのですが、今はコロナの第二波の最中と言える状況ですからね。移動を促進する事業が、果たして感染対策上いいのかどうか・・

いずれの施策も9月スタートの予定ですが、「感染状況を見極めて、延期や中止の判断ができるタイミング」と、その際の「判断基準」を明確にするよう求めました。

国のGoToキャンペーンの混乱と、同じ轍を踏むわけにはいきません。

 

■全体としてよくなかったこと

①市民に寄り添った経済・生活支援が少なかったこと。

一言で「コロナ対策」と言っても、それは「目下の感染防止」、「目下の経済・生活支援」、「感染症に強い社会への中長期的なライフスタイルの変更」、この三つに大別されます。本補正予算案では3つめのライフスタイルの変更に対する市長の思いが感じられる一方、それに比べると「目下の感染防止」「目下の経済・生活支援」が弱いという印象がぬぐえません。もちろん、いずれも大事なものであり、市長が目指す新しいライフスタイルが、数年後の感染防止に繋がっていく可能性もあるわけですが、第二波の最中にあり、市民生活の先行きが非常に不透明な現時点では、もう少し「目下の経済・生活支援」に力を入れてもらいたかった、困っている市民に寄り添ってもらいたかったという思いがあります。

このあたりは、本補正予算の作成作業の時期から、今日に至るまでに、感染状況が急速に悪化していることもあり、仕方のない面もありますが、8月議会や、更なる追加対策の中で改善を期待したいと思います。

 

②必ずしも「コロナ対策」とは言い難いものが含まれていること

例えば、上下水道局の業務スペースをフリーアドレスにするための、机やイスなどの購入予算がありました。フリーアドレスにすること自体は否定しませんが、それは通常の予算の中でやるべきことで、コロナ対策の補正予算ですべきこととは思えません。上下水道局は、「フリーアドレスにすることで、災害発生時も・・」と、なんとかコロナに関連づけようとして答弁していましたが、残念ながら説得力はなかったように感じました。

他にも、「ICTを活用した取り組み」が多数予算計上されておりました。ここも「お金がたくさん入ったから、前々からしたかったことをついでにやってしまおう」という感じがしてなりませんでした。「どさくさ紛れ」と言われても仕方ありません。市民にまだまだ支援が十分に行き届かない中、優先順位をしっかり精査すべきです。

 

③不要不急の事業の見直しがされていないということ

今年度予算はコロナ禍が本格化する以前に作成されたものですが、現時点で、コロナ禍を踏まえての事業の見直しが一切行われていません

今回も含め、これまでの7回にわたる補正予算は、いずれも必要なのものと判断していますが、同時に、当初予算については「今、本当に必要か、すぐやるべきことか」を見直し、数多ある「やるべきコロナ対策」「生活支援」等と比較して優先順位をつけていかなければなりません。その点については、動きの遅さを批判せねばなりません。

また、昨日の臨時議会でも、百舌鳥古墳群ビジターセンターについて、このコロナ禍でも「必要だ」と答弁があり、私は首を傾げました。これを1年でも遅らせて、その予算をコロナ対策に向けるべきだと思うんですが・・。この状況下で、急いで作って人が集まるんでしょうか。あるいは、集めることがいいことなんでしょうか。

こうした観光施策などが今の状況に照らして、本当に不要不急でないのか、つまり、「必要かつ緊急」であるのかどうか、厳しくチェックしていかなければならないと思っています。

 

 

以上、私の感じたことを述べました。

 

「1日も早く市民に届けなければならない施策」もあることから、補正予算案には賛成し、様々な指摘については今後の改善を要望しました。

8月議会もすぐそこですから、速やかな対応を期待したいところです。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

意見・提案