ロバと馬と牛と条文解釈
昔むかし、「ロバの通行を許可す」と書かれた看板が、橋に掲げられていました。
そこにやってきた、馬を連れた少年は、その看板を見て立ち止まります。
はて、馬は通っていいんだろうか?
ロバがいいと書いているということは、そこに書かれていない馬はダメなのだろうか。
いや、馬もロバも似たようなもんだしな。それに、ダメとも書いていないからいいんじゃないかな。
少年はそう思いかけたのですが、もう少し考えることにしました。
ふと、見ると、すぐ近くに別の橋がかかかっています。
その橋にも看板があり、
「ロバと馬の通行を許可す」と書かれてありました。
同じ村の別の橋には、「ロバと馬の・・」とあるのに、最初の橋には「ロバの・・」としか書かれていません。
少年は思いました。
「最初の橋は、やはり馬は渡ってはいけないんだ」と。
しかし、それでも諦めきれず、近くの村人に看板が立てられた経緯を訊いてみました。
すると、村人は、
「うちの村の橋はみな古くて壊れやすいからねえ」と。
村を見渡すと、ロバや馬の他に、牛を飼っている人が多いことに気づきました。
少年は改めて考えを巡らせました。
なるほど。
この村は、古い橋に負担をかけまいと、大型の動物が通行することを制限しているんだ。
「ロバと馬の通行を許可す」という看板は、ロバ・馬よりも重い牛の通行を禁止し、それより軽いロバと馬は認めるというもの。
そして最初の「ロバの通行を許可す」という看板のある橋は、他の橋よりもさらに古く、牛はもちろん、ロバより重い馬も禁止しているということか。
こうして、少年は最初の橋の看板の意味することを理解したのでした。
このように、法令の条文を解釈するには、字面だけではなく、法令そのものの主旨や、全体の状況を理解しなければならない場合があります。
例えば、この看板が「橋が古いから」ではなく、「村ではロバと馬が貴重で、他の村への持ち出しを規制しているから」であれば、それに関係のない牛は「通れる」と解釈することもできます。
おわかりいただけましたでしょうか?
突然でしたが、月曜日の質疑にも関係するたとえ話でした。
堺市議会議員ふちがみ猛志