リーダーの想像力と聴く耳とオンライン英会話
こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。
3年前に永藤市長肝いりで始まり、一部の小中学校でモデル実施されてきた、オンライン英会話。
来年度にその方向性が変わるようです。
学校でのオンライン英会話
この事業は、学校の英語の授業の中で、子どもたちがパソコンに向き合い、海外(フィリピン)の英会話講師と、マンツーマンで、英語のみでレッスンをするというものです。
それが来年度からどう変わるかというと、これまでの対象が小学校5年生と中学校2年生だったのが、中学生のみとなるのです。小学生が対象外になるわけです。当局は議会でそのことについて、こう言いました。
それ、いまさら言う?
「英語のみで会話をするのは小学校5年では、英語の語彙力、表現力は発達段階として不十分。小学校ではネイティブスピーカーや担任などとの対面で、日本語のリードありの、そっちの方が効果的であると考えたため。」
今さら何を言わんやです。
小学校5年生でも英語に堪能な子はいるでしょう。しかし、小学校5年生「全員」が、それぞれ「1対1で」、「画面越しで」、外国人と「英語のみで」レッスンするなど、英語が苦手な子どもにとっては苦痛でしかなかったはずです。
そんなことはやる前からわかっていた
私は3年前の提案の時点でこう指摘していました。
小学生の子どもがどんな生き物なのか、子どもがいかに多様なのか、英語の能力だけではありません。勉強へのやる気や、じっとしてられるかどうか、会話が苦手な子、いろいろいます。この子どもというのは、いろいろある存在だということをどれほどまで御理解いただいてるんだろうか。
その上で、
小学生の教育に(オンライン英会話が)必要なのかどうか、私は強い疑念があります。
と結論づけました。
自分目線の市長答弁
一方、これらの指摘に永藤市長はこう答弁しました。
※参考画像です。
1対1であれば、本当にその画面を通して、先生と向き合って、その25分間、緊張した時間を過ごすことができる(緊張して過ごしたくないわ!by子どもの心の声)。そしてその先生も気遣いをしていないわけじゃなくて、その相手の習熟度合いや、本当に理解してるかをきちんと細かく受けとめて授業をしてくれています。これは私の経験談です。ですから、この1対1というのは、子どもたちにとって、本当に自分の学ぶ意欲と理解と、そして英語が伝わることで、さらに勉強しようということにつながるんじゃないか
という答弁でした。
え!!!「私の経験談」??
大学を卒業し(つまり一定の英語力があり)、英語を学ぶ意欲がある大人が、オンライン英会話でうまくなったという成功体験を、勉強やコミュニケーションが苦手な子もいる「小学校5年生全員」にあてはめる???
私は実に想像力に欠く答弁だとその場で思いましたし、「こりゃ、ダメだ」と思っていました。
そして、案の定、そうなったわけです・・・。
浪費された予算とマンパワー
私はつくづく、リーダーには「想像力」と「聴く耳」が大事だと痛感しました。
これまでのモデル事業の間、一部の学校とは言え、小学校5年生のオンライン英会話のために、少なからぬ予算とマンパワー、貴重な授業時間が消費されてきました。聞くところによれば、教育現場からも私と同様に疑問視する声もあったようです。
この事業がうまくいかないことは、市長に少しの想像力があればわかったはずです。自分の限られた経験に頼らず、小学校5年生の立場に立つ想像力がありさえすれば。あるいはそれがなくとも、せめて聴く耳さえあれば、その予算とマンパワーは、浪費されずに済んだのです。現場職員だけでなく、私もこうして議会という公式の場で強く指摘していたわけですからね。
想像力と聴く耳
この4年間、市長の「想像力の欠如」と「聴く耳のなさ」を、何度も目の当たりにしてきましたが、このオンライン英会話はその顕著な事例だと思います。
永藤市長は去る予算審査特別委員会終了後の挨拶で、「市長の顔が見えない」と、度々議員や市民から指摘されていることに触れ、「これからはもっと現場に赴きたい」旨を述べました。
市民に一番近い基礎自治体の長が現場に赴くことは、極めて重要なことです。ただし、いくら現場に行き、市民に顔を合わせても、「聴く耳」とそれぞれの市民の立場に立ち、寄り添うための「想像力」が欠如していれば、何も意味はありません。
このオンライン英会話の失敗事例を契機に、ぜひ市長には「想像力」と「聴く耳」について、その姿勢を変えてもらいたいものです。
もし、それができないようであれば、それができるリーダーの誕生を望むだけです。
堺市議会議員ふちがみ猛志
LINE公式アカウントにぜひご登録を!
ご登録は上記QRコードか、下記URLから!