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公園ではない公園

こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

さて、議会閉会中は10月・11月は視察の多いシーズンでもあります。先日は、建設委員会で佐賀県に視察しました。そこで面白い公園を見てきたので、ブログに書きたいと思います。

 

人口が減っていない江北町

佐賀県の江北町をご存じでしょうか?

 

おそらく知らない人が多いと思いますし、私も行くまで知りませんでした!

しかし、行ってびっくり。なんと、平成以降、人口がほとんど減っていない自治体なのです。

全国約1700の市町村で、江北町は合計特殊出生率が全国48位!

 

全国の多くの自治体が人口減少の中にあり、佐賀県のような地方はなおさら、ましてその中の「町」ならなおさらだと思うのですが…。

 

本題ではないので詳細は割愛しますが、わざわざ視察団に挨拶に来て下さった町長の言葉が印象的でした。「観光や企業誘致よりも、暮らしやすさを磨いていった」結果だと言うのです。

 

そして、その暮らしやすさが磨かれた江北町の公園。「みんなの公園」と名付けられたそれの公園、たしかに素晴らしいものでした。

 

外からは壁でも中からは山

マイクロバスで現地に到着した我々を最初に迎えたのは「壁」でした。

※当日、写真を撮り忘れたため、Googleマップより

 

道路からは「壁」と、その上に木々が見えるだけで、それが公園だとはわかりません。

 

一般的に公園は、ほとんどが外から中が窺い知れて、もっと開放的です。

いったいこの壁は…と思ったら、築山だったのです。道路と公園を隔てるように、公園の一面がすべて築山になっていて、その道路側が壁だったのです。

なぜ、一面をすべて築山にしたのか?

その理由は、公園の中に入ってわかりました。里山を借景とするためです。

 

公園の道路を挟んだ向こう側には、商業施設、それもその表側ではなく裏側が見えており、なんとなく殺風景です。そして、さらにその向こう側には里山が見えます。

そこで、築山によって、公園からうまく商業施設だけを隠し、築山と里山が一体的に見えるようにしたのです。実におもしろい工夫です。

※公園内からの景観。築山と一体化した里山。

 

 

あえて閉鎖的にした公園

築山だけでなく、もう一方の面はカフェや、交流スペースが入った建物になっていって、公園全体が囲われた形になっています。

開放的ではなく、あえて閉鎖的にしているのです。

公園と言えば、たいていは開放的な空間ですが、この江北町の「みんなの公園」は閉鎖的な空間にすることで、決して広くはないこの公園を「非日常空間」にしているのです。

 

公園の大半を占める芝生広場の周りには、パンやお菓子、コーヒーなどの出店があって、なんとも言えない穏やかな時間が流れています。

交流スペースとなっている建物では、キッズスペースもあり、ヨガやティラピスの教室も行われており、町内外から子育て世代が多くやってきています。

 

外から見えにくいことのデメリットとして、防犯が挙げられますが、防犯カメラの設置や、夜間を閉園にする(これも壁や建物で囲っているからできる)ことで、対処しているそうです。

 

公園をつくるプロセス

公園の作り自体よりも、もっと感心したことが二つあります。

 

一つは作るプロセスです。

 

この場所に「公園をつくる」ということを決めてから、地域住民を集めて「どんな公園にしたいのか」、何度も何度もワークショップを開催して、議論を重ねてきたそうです。

その中で、芝生広場や交流スペースが出来上がっていったのです。

 

堺市(をはじめ、たいていの自治体)だと、市役所側で完成形を作ってから地元説明会・・・となるでしょうね。

 

また、作ってからも、利用者アンケートが常に実施され、その意見が啓示されていました。「みんなの公園」という、まさにその名の通りの運営がなされていました。

 

公園ではない公園

もう一つ感心した、というより驚いたのが、この公園が「公園ではない」ということです。

 

どういうこと???と思いますよね。

 

この公園は、公園法に合致しておらず、法律上は「(公園ではない)公共施設」なのです。

そのため、公園法の縛りを受けず、自由に作り、自由に運営することができています。

 

たとえば、交流スペースには商業施設(カフェ)が入っていますが、そうなると公園の面積に占める割合に、通常の公園だと制限がかかりますが、それを受けていないのです。

 

公園法における公園でなければ、建設費用の面で国からの支援が受けにくくなりますが、そこはそれ以外の「過疎化対策の交付金」などを活用しつつ、「縛りを受けない自由な公園」を目指したそうです。思い切った判断です。

 

リーダーのやる気

この公園の運営経費は、年間で1700万円ほどかかるそうです。

江北町の規模から考えると、かなり思い切った額です。

 

現在の山田町長が就任する際、町長がかつて東京にいた時に見た「南池袋公園のような公園を作りたい」という強い思いがあり、それを実現させたのが、この「みんなの公園」のようです。

※広い芝生の南池袋公園

https://www.city.toshima.lg.jp/340/shisetsu/koen/026.html

 

リーダーの思いさえあれば、思い切った額を支出できるし、住民を巻き込んで一緒に考えられるし、職員も常識の縛りから外れた自由な発想になれるし、、、そして形にできる!

 

そんないい事例を見させてもらいました。

堺市の公園づくりにも活かしていきたいと思います。

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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