NOWLOADING

川崎市の不登校支援に学ぶ

こんにちは。堺市議会議員のふちがみ猛志です。

 

文教委員会の視察で、川崎市に行ってきました。

テーマは「不登校支援」です。

 

川崎市は、堺市と同じ「県庁所在地ではない政令指定都市」なので、比較対象になることが多いのですが、いやはや、見習いたい点が多々ありました。

 

充実した教育支援教室

不登校の子の学校外の学びの場として、教育支援教室という施設があります。

 

堺市にはそれが4か所。常設が3か所と、週2回だけの開設が1か所です。3.5施設、というイメージですね。

一方、川崎市は常設が6か所。川崎市の人口は、堺市の約2倍とはいえ、面積はほぼ同じですから、ずいぶんと通いやすい配置だと言えます。(これに加え、川崎市には公設民営のフリースクールもあります)

 

驚いたのは、6か所の教育支援教室に専用のバスが1台配備されているということ。もちろん、運転士付きです。

これを使って、川崎市ではどの教育支援教室でも、月2回程度の校外学習を実施できているそうです。(画像には「1、2回」とありますが、「2回、多い月には3回」だそうです。堺市の教育支援教室の校外学習は学期に1回程度です。)

 

一般の学校に比べ、教育支援教室は行事ごとが少なくなってしまいます。また、不登校の子がストレスを感じないように、ある意味「ゆるい環境」にしており、時に、日々の生活が惰性になることもあるでしょう。

一般の学校よりも回数の多い校外学習は、子どもたちの刺激にもなりますし、「明日は遠足だから〇時に起きなきゃ」と、子どもが生活リズムを整える上でも一役買っているようです。

 

子ども目線で作ったパンフレット

この教育支援教室の案内パンフレットですが、堺市と川崎市で大きな違いがあります。

 

こちらが堺市。

そして、こちらが川崎市。

私が感じたのは、単にお金をかけて綺麗に作っているというのではなく、「子ども目線」で作っているということです。

 

学校に行けなくて、それとは別の場所に行くことを考えている子ども。その子どもの心理的なハードルが下がるのはどちらでしょうか。堺市のパンフレット(?)にはなんだか事務的な冷たさを感じます。

川崎市のパンフレットの表紙にある「主人公はあなた You」の言葉。まさにその視点で作ったパンフレットには、「行ってみようかな」と思わせるものがあります。

 

保護者目線で作ったパンフレット

これをすぐに堺市でも!と思ったのが、「保護者の皆さまへ 相談してみませんか?」のパンフレットです。

「学校に行きたくない」と言ったときのこと。

その時の家族の接し方。保護者の考えるべきこと。

相談できる機関や専門家のこと。

多様な学びの場が選択できること。

そしてそれらの支援が、法的に位置づけられた「教育機会確保」であること。

 

そういったことが記載されています。

 

川崎市は、これを全保護者に配布しているそうです。

 

突然に我が子が不登校になり、混乱する保護者は少なくありません。

我が子が不登校だと認めたくないというケースもあります(だから事前配布が重要)。

子どもとのかかわり方で失敗する保護者もいます(私もそうでした)。

また、不登校である我が子への教育機会確保について、どうしても遠慮がちになり、学校とのかかわり方にも苦慮される方もいます。

 

そういった、不登校の「あるある」に、的確にアプローチした素晴らしいパンフレットだと思います。ぜひ堺市でも作ってほしいと思い、川崎市から少し多めにいただき、教育委員会の担当者にお土産として届けた次第です。

 

不登校のピアサポート

堺市ではまったく手つかずの支援もありました。

 

それが「ピアサポート」です。

 

ピアサポートとは、同じ立場の仲間で悩みや経験を分かち合い、相談相手になったりしながら、互いを支え合う活動です。

何年か前、私の地元の小学校区で、ある保護者から「不登校の当事者のために何かしたいけど、何がいいか」と相談を受けました。その時に私は当事者として真っ先に「当事者同士で語り合える場があれば」と伝えました。やはり当事者同士でしかわからないことがありますし、一方で当事者は精神的にも孤立しやすく、情報も不足することが多々あるからです。

その方は当事者ではありませんでしたが、意を汲んでくださり、大変なご尽力のもと、私の小学校区ではそのような場が作られました。

まさにピアサポートの場となっています。

 

ただし、このような取り組みは「心ある方々の努力」によって、一部で実施されているものであって、行政が関与・支援しているものではありません。

 

川崎市は行政として、このピアサポートの重要性に着目し、予算をつけて、グループ相談会を実施するほか、不登校を経験された保護者をピアサポーターとして養成し、その相談会でのサポート役になってもらっているそうです。

 

保護者が精神的に不安定になることで、不登校の子どももまた不安定になってしまうものです。不登校における保護者支援は、子ども支援にもつながります。ぜひ、堺市でも進めたい取り組みです。

 

SSR配置は質より量?

学校の中で、「教室に入れない」という子のための居場所として、SSR(スペシャルサポートルーム)という部屋を用意する学校が増えています。

 

堺市では、今年度そのSSRの開設のために、支援員を6名採用し(直接雇用)、6つの中学校区に配置しました。「6つの中学校」ではなく、「6つの中学校区」です。1つの中学校区には、おおむね2つの小学校がありますから、中学校と合わせた3校のSSRを、この支援員が巡回します。(あるいは、3校の不登校児童生徒が、1校のSSRに集まります)

つまり、堺市は3校に1人の配置(×6)です。

 

一方で、川崎市も今年度からモデル実施なのですが、28校に、5時間×週5日、がっつり配置しています。つまり、それらの28校では「いつ行っても、SSRには大人がいる」という状況を作れているのです。

 

ただ、川崎市がすごいかと言うと、堺市の6人が直接雇用であるのに対し、川崎市は28校中14校をボランティアで、残る14校を業者委託でカバーしています。

少し乱暴な言い方ですが、川崎市は堺市に比べ「質より量」を重視した取組になっていると言えます。同じ予算規模だったとしても、川崎市の方が配置校数・配置時間は多くなるはずです。

 

全校配置を望む声は多く、堺市としても全校配置に向け、このあたりの方針を整理する必要があると思います(もちろん、質と量の両立が理想ですが)。堺市は私の質疑の中で、「3年以内の全中学校区配置を目標」とする旨の答弁をしています。果たしてどうなるのか、追いかけていきます。

 

進路指導の課題は共通

私が意見交換の場で問うたのが、不登校生徒の進路指導のことです。

通信制高校が増え、また一言で「通信制」と言っても、通いのある・なし、その頻度、不登校児のどの点を重視してケアしているのか、大学進学を重視しているかどうか、大阪府の私学無償化の対象となるか否か、通信制がメインなのか・全日制のオプションとして通信制があるのか…などなど。選択肢があまりに多く、しかも多様なのです。

私も当事者となり、その大変さを実感しています。

 

これを、各中学校で情報を集め、かつ、普段学校にいない不登校生徒の特性や希望も把握した上で進路指導するなど、私は不可能だと思っています。

 

現時点で私に名案があるわけではありませんが、少なくとも、教育支援教室やフリースクールの先生などと連携すること、各中学校(各進路指導の先生)任せにせず、どこかで誰かが通信制高校の情報を集約することが必要だと思っています。

 

この問題意識について、川崎市の担当の方も強く共感してくださいました。お互いに情報交換しながら、いいやり方を見い出せるといいのですが。

 

なお、このことはすでに堺市議会でも問題提起済みです。(この切り口の問題提起は、私が最初だと思います)

 

不登校の根本原因に言及

不登校の話をしていると、先に述べたような、SSRや教育支援教室の話など、「居場所」の話がどうしても多くなります。

 

でも、それって対処療法なんです。

 

根本的な問題は、「学校がつまらないこと」です。だから、学校に行きたくなくなるのです。中長期的にはそこの改善が何よりも重要なはずです。そのことについて、教育関係者は真摯に受け止める必要があると思います。

 

堺市で不登校の原因を問うても、社会の変化、価値観の変化等々に言及することが多く、教育サイドの原因を真正面から受け止める答弁を聞いたことがありません。

 

議会のような発言記録の残る場ではないからかもしれませんが、川崎市の担当者さんはそのことを強く主張されていたのが印象的でした。

「学校が子どもたちの変化についていけていない」「学校が変わらないといけない」「不登校がそれを教えてくれている」と。

 

画一的、学力重視、テスト漬け、教員の多忙化、そういった一つひとつが不登校と密接に関わっています。それらを見直す必要があることを、これからも訴えていくつもりです。

 

生徒指導課ではなく支援教育課

印象的だったことがもう一つ。

 

堺市教育委員会で不登校を担当する部署は「生徒指導課」にあります。

元を辿れば、これは堺市では不登校を「問題行動」として捉えていたからでしょう。

 

一方、川崎市で不登校を担当する部署は「支援教育課」にあります。

障がいをはじめ、配慮が必要な子どもを支援する部署です。川崎市が、以前から不登校を「支援の対象」として捉えてきた証です。

 

少なくとも、現在の堺市教育委員会では「不登校は問題行動」などと言う職員はいないでしょうが、行政の施策というのは一朝一夕によくなるものでもなく、長い蓄積の上に築かれるものです。現時点で川崎市に見劣りするのは、このあたりの出発点の違いも影響しているように感じました。

 

川崎市と堺市では財政力が違うので、何でもかんでも真似できるわけではありませんが、不登校支援の姿勢や、その視点については、すぐにでも取り入れたいものです。

私なりにはいい刺激を受けた川崎市の不登校支援、ぜひ堺市の職員さんにも視察に行って、肌で感じてほしいと思いました。

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

LINE登録はこちらからも↓↓↓

https://lin.ee/YdOYWqu

意見・提案