未成年者の選挙活動と表現の自由
こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。
未成年者の選挙運動を禁止する公職選挙法の規定を、違憲とする画期的な判決が下りました。「未成年者も選挙活動ができて然るべき」というのが、東京地裁の判断です。

そこで今日は、未成年・子どもと、選挙や政治について書いてみようと思います。
メールでのあるやりとり
私が議員に初当選した11年前に、「何才からビラを渡すのか」というブログを書きました。↓↓↓
簡単にまとめると、
18歳になった時の投票で、きっちり選べるように、現職議員が任期中(4年間)にどんな活動をしてきたのかを知った上で選挙に臨んでほしい。
だから、少なくとも14歳くらい(中3くらい)からは政治家の活動に目を向けてほしい。
だから、私は街頭活動で、中学生くらいには活動報告ビラを差し出すようにしている。
そんなブログです。
おそらく、このブログを見た方からだと思いますが、先日、ご批判のメールをもらいました。
※※※(原文を一部抜粋)※※※
4年後に選挙権ができるので中学生にビラを配った方がいいと思うのはのはあなたの選ばれたい立場だからでしょ?
もし中学生の子供ね政治家が自分の政治信条をかいたビラをわたしたらぶっとばすけどね。
18歳の人間が、18歳の時点で、18歳の立場で、一番いい選択すべきでしょ。
だから選挙権が18からでしょ?青田刈りしてどやねん。
18歳以下の子供に政治信条を刷り込まないでください。
※※※※※※
そして、政治信条を刷り込まれた子どもは「人の意見も聞かない、偏った人間になる」ともおっしゃるのです。
程度はさておき、このように「子どもを政治に触れさせたくない」という大人は、それなりにいらっしゃると思います。
今回このメールを持ち出したのは、「違憲」とされた「未成年の選挙活動禁止の規定」と共通していることがあると感じるからです。
それは、「子どもを権利の主体として捉えていないこと」です。「大人が管理や保護をする対象として捉えていること」です。
選挙活動禁止の理由と現在の選挙活動
未成年者の選挙運動を禁じる規定は、昭和27年に作られました。
当時、未成年者が選挙活動に大量に動員されることがあり、それを防止することが目的だったようです。学業に影響が出ることも懸念されたとも言われています。
ただ、一律に選挙活動を禁止せずとも、お金を払って動員しようとすれば「運動員買収」、(無償でも)意に反して強制的に動員すれば「強要罪」が成立する可能性があり、その他の法令でも相当程度、「未成年の選挙活動への動員」を阻止できるはずです。
また、現在の選挙活動は当時とは違い、「SNSでの投票の呼びかけ」や、「候補者の応援」、「その拡散」など、クリック一つでできる手軽さです。

昭和27年当時よりも就学率もはるかに高く、当時の懸念が現在にも当てはまるとは、到底思えません。
画期的な東京地裁の判決
「未成年者が自分の価値判断に基づき、選挙運動に参加することを法令で禁止することは、実質的根拠を見いだしがたい」
東京地裁の判決文は、そこからさらにこう続きます。
「それは、未成年者がスポーツや音楽に取り組むのを禁じる根拠がないのと、同じことだ」
素晴らしい一文です。

※朝日新聞より
選挙活動をすることは、表現の自由の一部であり、選挙活動の禁止はその重大な制約であり、憲法違反だと断じたのです。
選挙活動は何も非難されるものではなく、表現の自由であり、権利である。
もちろん、この考えは、日常の政治活動、政治的主張の発信なども同じです。
堺市議会議員としての責務
「知る権利」は、表現の自由と表裏一体であり、民主主義社会の基礎をなす重要な権利です。「知る」から「表現できる」んです。
未成年者の選挙活動が彼らの重要な権利であり、それを制約することが憲法違反だと示された今、改めて私は、政治の側にいる者として、彼らの「知る権利」の保障に対し、もっと意識を高めねばと思います。
先日は、リクエストをもらって小中高生向けに市政報告会をさせてもらいましたし、
先のブログの通り、日常的には街頭活動で子どもにも議会活動報告ビラを差し出しています。もちろん、無理やり渡したりはしませんよ。「受け取りたい」と思う子どもが受け取りやすいように差し出しているのであり、現に中高生くらいはよく取ってくれます。
子どもも社会の一員であり、政治に関心のある子もいるし、そうでない子も含め、税金がどう使われているか、自分の住むまちの市政がどう動いているのか、それを知る権利があるのです。
たとえ選挙権はなくとも(有権者でなくとも)、一市民として、表現の自由が認められる権利の主体なのです。ただの大人の保護や管理の対象ではないのです。
私の反省点
一方で、私の2015年当時の過去のブログを見ると、私にも「子どもは権利の主体」という意識が欠けていたと感じます。反省もしています。
『まっとうな投票行動を取るには、現職候補が前の任期中(4年間)にどんな活動をしてきたのか、知っておいた方がいいに決まっている。』
『彼らが考えて投票をし、主体的な主権者となるために』
という記載がある通り、私は「(選挙権のある)有権者になった時のために」という視点に立っていました。
くどいようですが、18歳になろうがなるまいが、子どもたちも「すでに権利の主体」なのです。将来を見据えてどうこうではなく、現時点の彼らの知る権利に、私たち公職者は応えないといけないのです。
12年の議員活動で、私自身、子どもの権利に対する意識がずいぶん変わりましたし、このブログを見返して、それをつくづく感じます。若かったなぁ、甘かったなぁと。
国会の対応に注視
国会がどう動くでしょうか。司法からボールは投げられています。
違憲とされた未成年者の選挙活動の禁止規定、これをどのように改正するかに注目したいと思います。
大人と同じように認めるのか、それとも条件付きなのか。
いずれにしましても、今回の判決と、(おそらくあるであろう)公職選挙法の改正、そして始まるであろう未成年者の選挙活動が、
「子どもが権利の主体」であることが当然の認識になっていく、
そして子どもたちが社会に対してより関心を持ち、社会の担い手になっていく、
その契機になることを願って止みません。

堺市議会議員ふちがみ猛志

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