職員さんの言葉に感じる世間の意識
私はほぼ毎日、朝夕に子どもの保育所への送り迎えをしていて、自宅と保育所の間くらいに市役所があるので、よく、送り迎えの途中に市の職員さんに出くわします。
だから、時々、市の職員さんとの会話で、そのことに触れられることもあります。
「頑張ってますねー」
「大変ですね、すごいですね」
とか、中には冷やかし半分で
「アピールですか?」
というものもあります。
つい数日前、たまたま飲み屋さんで職員さんと一緒になった時もそうでした。
単なる会話のネタなので、とやかく言うのもなんですが、この手の話の時にいつも思うことがあります。
私が女性でも、同じことを言いますか??
ということです。
おそらく、そんなことを言う大半の人に、「保育所の送り迎えは、普通は女性がやるもの」という先入観があり、
「(男性なのに)頑張ってますねー」
「(男性なのに)大変ですね、すごいですね」
「(男性なのにやっているのは)アピールですか?」
と、心の中で「(男性なのに)」という枕詞がついているのではないでしょうか。
送り迎えに限らず、土日などに三人の子どもを私一人で連れて歩いていると、ほぼ間違いなく、「イクメンですね」などと、お褒めの言葉(?)を頂いたり、あるいは「奥さんは?」と訊かれたりします。
しかし、子連れの女性がそのシチュエーションで「子育て頑張ってるママですね(※)」とか、「夫さんは?」と訊かれたりすることは、ほとんどないはずです。あるいは、あったとしても、前者に比べて、ごくわずかでしょう。
(※)そもそも、「イクママ」という言葉自体が存在しない。「子育てを頑張るママ」は当たり前で、「 〃 パパ」は当たり前でないから。一刻も早く、イクメンを死語に!
私が保育所に子どもを預けるようになったのは、5年前です。
この間でも、ずいぶんとパパの送り迎えの頻度が増えた気がします。
「イクメン」という言葉も、もはや死語に近いのです。
しかし、当事者の感覚はそうであっても、世間の感覚は「まだまだだなぁ」と思うのです。
「子育てのまち堺」を掲げる市の職員さんでもそうなのです。
私は頑張ってもいないし、大変でも、すごくもなく、父親として当然のことをしているまでです。
強いて言えば、むしろ逆で、保育所の送り迎え、とりわけ2人連れての送り迎え(昨年度までそうだった)は、力仕事でもあるから、家事・育児の分担の中で、男性の方こそ積極的にやればいい仕事のようにも思います。だから、送り迎えに関しては、女性の方こそ「頑張ってますね!」の称号にふさわしいと思います。
ただ、先述の言葉の中で「アピールですか?」というものに関しては、一定程度、そういう面も少しあります。現に、私のポスターには、子連れのイラストを掲載していますし。
しかしそれは、「アピールとして子育てをしている」のではなく、「当然のこととして子育てをしている」上で、「当然と思っていない少なからぬ世間の人に、当然なんですよとアピールしたい」という気持ちなのです。
また、世間の人たちの考えだけでなく、様々な法律や制度の中にも、「子育ては女性」という考えに基づくものが、いまだに(!)存在しています。
議員としてその点も改善したいし、明日の総務財政委員会でも指摘するつもりです。
ちなみに・・・、
先の言葉を発する市の職員さんの思いは、ひょっとすると「(男性なのに)頑張ってますねー」ではなく、「(議員なのに)頑張ってますねー」なのかもしれません。
議員の平均年齢は高いし、子育て中の議員は多くはないですし・・・、以下、あえて略。
どっちにしろ、どんな職業であっても、もちろん男性でも、「子育てするのが当然」にしたいものです。
堺市議会議員 ふちがみ猛志