困難を抱える子供に家庭を
乳児院、児童養護施設、ファミリーホームを視察して来ました。
これまで、初当選以来約3年、子育て支援にはかなり頑張ってきたつもりですし、多子家庭支援や、学童保育関連、病児保育などなどには、一定の役割を果たせたと思っています。
ただ、今振り返ると、これらはそれなりに多くの方に影響する施策であって、そうではなく、陽のあたらないところに光をあてる、そんな取り組みもしたいと、常々思っておりました。
そこで、虐待、里親、養子縁組の問題に取り組んでみよう!と。
「子育てのまち堺」を称し、様々な指標でそれなりの高水準にある堺市ではありますが、子ども関連で、全国政令市で最下位のものがあります。
それは…、里親委託率です。
問題に取り組む以上は、まずは現場を知らないと!と、今回、関連施設を視察した次第です。
乳児院(&児童養護施設)
一見すると、「困難を抱える子どもの施設」という感じがしません。
私も想像以上に施設が立派で、またその中身(ハード・ソフトの両面で)も、非常に家庭的であることに驚きました。
厚労省が家庭的な養育に大きく舵を切る中、施設は施設として、「家庭的」を目指し、相当な努力をされていることがよくわかりました。
子どものグループ単位を小さくし、スタッフを固定化し、外から部屋に入るときの入口すら別々に設け…、という具合です。
細かいことをあげますと、これが東大阪の乳児院&児童養護施設内の、トイレのドアなのですが…、お気付きですか?
あるいは、施設の運動会もしないんだそうです。だって、皆さんのご家庭で運動会はしませんよね?(そんなことしなくても、幼稚園や小学校で運動会があるわけですから)
とにかく、「家庭的」を目指し、あれこれ智恵を絞り、努力をされていることに驚きました。
行政としても、少なくともこうした努力に対し、ハード整備にかかるお金や、スタッフの加配など、できる限りの支援をしたいものです。
そして、印象的だったのが、「想像してたよりずっと家庭的だな」と思っていた私に語った、児童養護施設の方の言葉でした。
「施設はあくまでも施設なんです。大人が決めたルールやスケジュールに合わせて子どもたちが動いています。『こんなものが食べたい』と言って、夕食にそれが出てくるとか、『もう少し寝ていたい』と土日に一時間遅く起きて、朝ごはんもそれに合わせて出てくるとか、子どもの希望に合わせて周りの大人が動く。こんな経験を、一度でいいから、させてやりたいんです。それができるのが、家庭です」
と。
そうした経験が、「自分は大人に愛されてる、守られてる」といった、自己肯定感に繋がるのかもしれません。
施設はあくまでも、最後のセーフティーネットであり、その底上げ(より家庭的な環境にすること等)は重要です。
同時に、生物学的な親に養育してもらえない子どもたちが、それでもなお家庭的な養育環境を得られる、里親や特別養子縁組。これらの取り組みの重要性が、改めて身にしみました。
里親制度の啓発活動。
妊娠時からの相談体制の充実。
産科などの関係機関との連携、
里親委託専属スタッフの増員。
などなど、やるべきことは山積です。
一つ一つ、頑張っていきます!
堺市議会議員 ふちがみ猛志