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百舌鳥古墳群の空に気球を

韓国の水原(スウォン)に視察に行ってきました。

世界遺産・水原華城を空から見渡せる気球に乗るためと、その気球の運営上の課題を確認するためです。

 世界遺産となった百舌鳥古墳群を空から見渡したいという声は根強く、永藤新市長も気球の導入の検討を表明しています。この気球については、私もかねてより導入を目指すべきと訴え、ことあるごとに発信して参りました。また、前市長時代からも、水面下で検討が続けられてきました。

 

いよいよ本格的、具体的に議論が始まるにあたり、「そういえば、乗ったこともないのに、賛成も反対もないよな・・」と思い、堺市が導入を目指すヘリウムガス気球(ワイヤーで係留)を、近隣で唯一運行している韓国の水原へと赴いたわけです。

 

さて、行ってみて、事業者に話を聞いてみて、そして乗ってみての感想です。

 

■スリル満点のアトラクション!

とにかく高さを感じ、率直に言って、怖かったです!

気球の乗る部分が、箱型ではなく、リング型になっていて、内側から真下が見えてしまうのです(うまく説明できないのですが、写真でご理解頂けますか?)。

 

この高度感がすごいのなんのって・・。ひょえーーー。

 

私は高いところが苦手ではないし、山登りもするので、むしろ得意なくらいなんですが、それでも足が震える寸前、ドキドキでスリル満点でした。

「水原華城のスケールがよくわかる」なんて以前に、これはアトラクションとしても十分に乗る価値があるものだ思いました。

もちろん、これで古墳群のスケールが実感できて、あの特徴的な鍵穴が見られたならば、最高でしょうね。

 

■意外とリーズナブル

水原の気球の乗船(?)料金は、一般の成人が1,800円程度(18,000ウォン)、水原市民で1,500円程度です。

堺市で同程度の料金でできるかどうかは、どの程度の人員で運営するのかや、この後に述べる台風リスクにどう備えるのかにも寄りますが、物価から考えて、この倍以上の料金になるとは思えません。だとすれば、私は「一度は乗ってみたい」と思う方が多くなるのではないかと思います。

また、水原では夜の飛行の方が人気だそうです。夜景が見られるからです。

昼は古墳、夜は夜景で、二度乗ってもらえるかもしれませんね。

 

■鍵穴を見ることはできるのか

さて気になるのが、気球で本当に鍵穴型を見られるのかどうかです。結論から言えば、わかりません。

私が以前聞いた話では、鍵穴をハッキリ見るには、間近で上げて、300mくらいの高さが必要だそうです(いかに大山古墳が大きいかということですね)。

航空法の規制は別として、技術的にはヘリウムガスでそれくらいの高さまで上がることができるそうですが、それには「リスクがある」そうです。気球を下すのは、1秒で60センチで、仮に300m上げると、下りるのに5分かかるわけです。時間がかかれば、天候の急変、突風などの影響を受ける可能性が高まります。(というか、300mだと怖すぎる気がしますね・・)

水原の気球は、無風状態で150m、普通は100mで運行しているそうです。

仮に100mそこそこで運行したならば、こんな感じではなく、

こんなくらいになるのではないでしょうか。(私の想像です)

これでも十分に雄大さは実感できますね。

いずれにせよ、ドローンを使って確認が必要です。

 

■事業として採算が合うかどうか

続いて、採算です。

この点は色々と情報をもらってきましたので、近々議会で披露したいと思います。

少なくとも水原の運営状況は、私が想像していたよりも、ずっと採算性がいいものでした。

料金は先述の通りで、一度に20人が乗れますし(無風時)、年間で280日ほど運行できるそうで(風速13m以上、もしくは強い雨で飛行不可)、水原と堺の気象条件は非常に似ているとおっしゃっていました。

 ただ、その事業の採算については、「気球が壊れないかどうか」にかかっています

 

当然のことですが、まずは初期投資にそれなりのお金がかかります。それをペイできるかどうかは、その気球が無事に長期間飛行を続けられるのか、それとも短期間で壊れてしまうのか、それ次第なのです。

気球が壊れる一番の原因、それは強風に煽られることです。それも、飛行中だけではなく、地上で係留している時もです。

そうです。最大の敵は、台風なのです。

 日本でいくつかあるヘリウムガス気球の事例では、台風によって壊れてしまい、短期で運営を断念したものもあります。

 

■とにかく天候を読む力が重要

通常の運行時は、とにかく風向きや風力の変化に注視する必要があります。上空で強風にさらさることが、一番の事故の原因です。

また、台風接近時も、どの程度の風速になるか見極めなければなりません。

水原では特殊な係留方法によって、かなりの強風に耐えられるとの説明でしたが、それでも限界があります。その限界を超えそうな時には、事前にヘリウムガスを抜いて、気球をたたんでしまわなければなりません。ただし、抜くとなると、そのガスを入れなおすのに、大変なお金がかかるわけです。もちろん、気球そのものが壊れてしまうよりはマシなんですが、その風力とリスクの見極めは大変難しいものになるでしょう。

 

■それでもやっぱりあったらいい!

他にもいくつかの課題がありますが、大きくは天候と、それによるリスクにどう対処するかだと思います。

現在、古墳を上空から見るために、ヘリやセスナの遊覧飛行が増えており、それによる騒音の苦情も増えています。また、せっかくの「古墳を見たい」という観光客も、ヘリが発着する舞洲や、八尾空港に行くだけで、堺に立ち寄ってもらえません。

気球の導入は、堺への来訪者増加と、騒音問題の軽減(ヘリやセスナのお客が気球に流れ、飛行頻度が減る)にも繋がることでしょう。

 

すでに長期間運営している水原のノウハウを十分に参考し、堺で実現してもらいたいものですし、私はその立場で応援して参ります。

はたして、長年夢見てきた気球は実現できるでしょうか??乞うご期待!

※6年前、議員になる前に発行したチラシにも。

※議員3年目に発行した「堺区未来構想図」にも。

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

意見・提案