ちょっとした伝える工夫
1人10万円の給付金の未申請者に送る、「申請してくださいね!」という催促の文書に使う封筒を、
これから、
これにしてもらいました。
日本語で「重要」と書かれた下に、8言語で「重要」と追記してもらったのです。
中国語でも「重要」は「重要」だし、スペイン語とポルトガル語は同じ「Inportante」ですから、実質的に10言語対応です。
これなら、日本語が読めない外国人でも(多くの国籍の方が)、この封筒の中身が「重要だ」ということだけはわかります。
封筒の中身は、給付金の申請に関わる文書です。
1枚目がこれ。日本語だらけ。
2枚目、3枚目も同様。
4枚目の、それも裏面に、ようやく4言語による説明文が登場します。
日本語がまったく読めない方が、果たしてここまでたどり着けるかどうか・・。私が逆の立場なら、無理でしょう。日本語でも読むのがしんどい行政関係の申請書類ですからね。
また、4枚目の裏面にたどり着けたとしても、記載はわずか4言語です。堺市では、外国語による電話相談は5言語、窓口相談は10言語、生活ガイドブックは9言語対応ですが、なぜか4言語に絞っています…、おそらく紙面の都合でしょう。
5月に1人10万円の給付金の申請書が、全堺市民に送られ、
8月頭の時点で未申請者約1万世帯に催促の文書が送られ、
それでもお盆明けの時点で、6000世帯以上の未申請者がいたようです。
この人たちに改めて催促の文書を送ると聞き、上記の変更をお願いしました。
約6000世帯のうち、250世帯ほどが外国籍市民のようです。
ごくわずかだと思うかもしれませんが、人口比で言えば、日本国籍の市民の約3倍の比率です(外国人市民の割合は、人口の約1/80。よって、全体が6000世帯ならば、7~80世帯ほどになるはずですが・・。)。
おそらく、その多くが日本語を読めず、また先述の4枚目の裏面にたどり着かず、この文書を放置してしまったのでしょう。だから日本人よりも、未申請率が高いのでしょう。
かと言って、その人、その人の母国語に合わせて、中身を全部翻訳することなど、現実的ではありません。
堺市の立場としては、全堺市民に申請してもらい、10万円を受け取ってもらいたいのです。そうすれば、消費であれ、寄付であれ、多くが堺市で消費されますが、未申請だと国庫に帰ってしまいます。
「申請しないやつが悪い」ではなく、できるだけすべての方に申請してもらいたい。もちろん、外国籍市民も含めてです。
よって、外国籍市民向けの文書には、せめて「この封筒の中身は大事です。捨てないで。」という意図だけでも伝わるように、先の「『重要』の多言語記載」をお願いしたわけです。
きっと、それさえ分かってくれれば、お友達に相談するなり、役所に行くなりしてくれることでしょう(と期待しています)。
そして、申請に繋がることでしょう。
堺市に限らず、実は多くの自治体がそれなりに行政サービスを揃えているのに、その存在が必要とする人に伝わっていない。
というのが、私の感じるところです。
つまり、「伝え方の問題」だと。
行政サービスを市民に伝える時、相手の立場に立って、特に伝わりにくい方の立場に立って、伝え方を少しでも工夫すれば、そしてそれが積み重なれば、市民満足度はずっと上がると思うんです。
ほんの少しでも、受け取る市民の側に立って、やり方を考えてあげられるかどうか。
今回は、10万円の給付金における、その「ちょっとした伝える工夫」の一例でした。
堺市議会議員ふちがみ猛志