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コロナ優先の医療とリーダーの姿勢

先日、朝日新聞に「コロナ優先 ICU出され」という記事が掲載されました。

阪大病院の集中治療室(ICU)に入っている心臓疾患の患者が、ICUをコロナ重症病床に切り替えるために、一般病棟に移された・・という内容です。

実はこの記事に登場する「患者の父」は私の知り合いで、彼から話を聞き、このようなコロナ禍の理不尽について社会は知るべきだと私も彼も感じ、記者に相談し、その後このような記事になりました。

 

当たり前の話ですが、コロナ患者も、心臓疾患の患者にも、優先順位なんてものはありません。あるはずがありません。

しかし現実には、このICUの件しかり、また手術の延期の件しかり、コロナ対応を優先した措置が取られ続けています

 

コロナについては、毎日のように数字が報道されています。

コロナの感染者数はもちろん、重症者数、重症病床の確保数、、、、

 

しかし、その裏で押し出される「コロナ以外の患者」のことが、どれだけ報道されているでしょうか。為政者はどれだけ意識しているでしょうか。

 

コロナによって押し出されたその他の疾病の重症者数、

コロナの病床確保のために減らされた病床数、

コロナの影響で延期された手術数、

 

そんな情報もあるべきでしょうし、少なくとも為政者はそこにも目を向けるべきだろうと思います。「コロナ重症病床を増やした」と胸を張るだけでなく、そのしわ寄せを受けている人に、果たしてどれだけ思いを寄せられているでしょうか。

 

堺市でも、その「しわ寄せ」は現実のものになっています。

堺市立総合医療センターが、三次救急(重症・重篤患者)及び二次救急患者の受け入れを停止しているのです。

同センターの救急機能は、そのホームページにもある通り、「救急医療の最後の砦」です。その砦がいま、機能を停止しているのです。

※同センターのホームページ

 

このことで、どれだけの救急患者がたらい回されているのか、命の危機に晒されたのか、救急搬送時間がどれだけ長くなっているのか、毎日毎日、市内のコロナの陽性者数や、死亡者数は公表されど、そのようなものは明らかになっていません。

それどころか、この間の総合医療センターの救急機能の停止を、堺市も、堺市長も公には表明していません。(5月14日時点で私は確認できていません)

堺市民の命にかかわる重要情報にあるにもかかわらずです。

隠しているのか、目を背けているのか、実に不誠実だと思えてなりません。

 

まさに医療崩壊している今の大阪で、限られた資源をどこに向けるのか、為政者は厳しい判断を迫られることもあるわけですが、改めて申し上げたいのは、「同じ命として、同じだけ目を向けてほしい。」「残念ながら一方を優先せざるをえないことがあるのならば、責任を持って説明してほしい。」ということです。

 

このコロナ禍は、リーダーの選択・判断とともに、その姿勢の誠実さをも問うてるように思います。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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