危機発生時の情報発信・共有のこと①~リーダーによる発信~
まずは、今週月曜日の大阪北部地震で、お亡くなりになられた方にお悔やみ申し上げると共に、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
さて、今回の地震で情報発信・共有に関して、気になることが2つありました。
1つは、リーダーによる発信について。
もう1つが、職員間の情報共有についてです。
前者のきっかけは、大阪市の吉村市長によるツイッターでの情報発信です。
発災直後から、吉村市長はツイッターによる情報発信を続け、丸一日で30回以上(うちリツイートが4、5回だったと思います)に上りました。
この発信については、賛否両論あり、「神対応」という絶賛もあれば(私はこの言葉は好きでありませんが・・)、学校の休校に関して現場を混乱させたとして、批判の声も上がっています。
私は、この発信については批判というより、疑問を感じています。
(休校云々は情報発信方法というより、誰が判断すべきなのかという視点で、それはそれとして、私は批判的に見ていますが、本ブログの主旨ではありません)
それは、、、、
そもそも危機発生時に、リーダー「自ら」が、「逐一」ツイッターで情報発信する必要があるのだろうか。
ということです。
疑問に感じる一つ目は、「リーダーとしてもっと優先的に、集中してやるべきことがある」ということです。
広報は、広報の担当者・責任者がいます。(危機発生時は、副市長のうちの一人が担ってもいいでしょう)
一方、リーダーでなければできないのは、組織をスピーディーに動かすための決断と、そのために必要な状況・情勢の把握です。
市民への情報発信は然るべき者に任せて、リーダーとしての優先課題に専念すべきだったのではないでしょうか。
二つ目は、正確性の問題です。
行政が発出する文書、とりわけ、リーダーの発信は非常に重たく、正確性が要求されます。例えば、議会での答弁でも、(通告のないものを除き)二重三重に誤りがないかのチェックがなされています。
危機発生時には迅速さも大事ですが、平時よりも一層、正確さが大事になります。
今回、ご本人が実際にスマホなりを操作して発信したのか、はたまた、どのようなチェックがなされていたのかは知りません。
ただ、仮に本人が操作し、他人のチェックを受けずに、発信ボタンを押していたとしたら、大変危ういことだと思います。SNSの発信しやすさ、拡散しやすさは強みですが、誤った情報を発した際のリスクは非常に大きいものです。
もちろん、ツイッター投稿の全てを否定するわけではありません。情報発信が大事なのは、言うまでもないことです。
少なくとも、地震直後の一報は、「速やかに対応しています!」というシグナルにもなり、安心感にも繋がるでしょう。
また、例えば今回のケースで言えば、吉村市長にはかなり多くのフォロワーがいますから、この拡散力は活用すべきでしょう。
だから、私なら、、、、
本人アカウントによる投稿は、政務のスタッフに任せた上で、地震直後の第一報以降は、市の公式アカウント(危機管理やインフラ関連の部署など)の発信のリツイートに徹します。
公式アカウントは、発信情報の取捨選択、正確性の確認も含め、十分にチェックがなされていますから。
何も吉村市長のツイートだけを取り上げたいのではありません。
昨今、SNSに対する依存度が高くなり、「投稿がない=何もやっていない」かのような判断をされる方が少なからずいらっしゃいます。そうした方の声に押されてか、政治家のSNSへの依存度もまた高くなっています。
「私は動いていますよ!」とわかってもらうために、SNSに投稿せざるをえないという心情は、自分(私ごときの政治家)を振り返ってみても、よくわかります。
ただ、繰り返しますが、リーダーは一人しかおらず、リーダーにはリーダーとして優先的にやるべき大事なことがあり、また情報発信には情報発信の専任がいるわけです。それが組織というものです。
南海トラフ大震災に備え、各自治体の首長の皆さんは、「誰が、どのように発信するか」についても、しっかりと想定しておいてもらいたいと思いますし、堺市でもその点を確認していきたいと思います。
二つ目の「職員間の情報共有」については、堺市役所内で感じた問題点で、今回の総務財政委員会で指摘したものですが、長くなりましたので、次のブログに記したいと思います。
堺市議会議員 ふちがみ猛志