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埼玉県上尾市に行ってきました

こんにちは。堺市議会議員のふちがみ猛志です。

 

7月25日、埼玉県上尾市へ視察に行ってきました。

視察の費用には、政務活動費を充当する予定です。つまり税金です。

行きは新幹線、帰りは夜行バスを利用し、その交通費約20,000円です。

 

昨今、議員の視察の在り方についてメディアで報じられるケースもあり、「遊びじゃないのか?」との意見も散見されています。

 

何はともあれ、「そこで何を学んできたか」「どう活かすのか」、それをちゃんとオープンにすることが大事なんだと私は思っています。

そこで私もブログという形で、遅くなりましたが視察の中身をオープンにしておこうと思います。

 

上尾市に視察に行ったきっかけ

今年度、私は「孤独孤立社会対策調査特別委員会」の委員長を拝命しました。

 

深刻化する自殺、引きこもり、ニート、不登校などの「孤独・孤立」に関わるテーマに、部局横断的に取り組む特別委員会です。

そのテーマの中で、昨今特にクローズアップされているのが「ヤングケアラー」です。

 

ヤングケアラーとは、「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども(文部科学省HPより)」で、その時間や心身の負担のために勉強や友人関係に影響が出たり、不登校などにつながったりするケースも少なくありません。

 

全国の都道府県で初めてヤングケアラー支援条例を作ったのが埼玉県であり、県内自治体で同様の支援条例を作り、先進的に取り組んでいるのが上尾市だったのです。

その取り組みについて説明を受け、意見交換すべく、もちろんそれを今後の堺市の取り組みに活かすべく上尾市に行ってきました。

 

上尾市と堺市の共通点

当日は、子ども未来部部長、子ども家庭総合支援センター所長に対応してもらいました。

 

たいていこういう視察は「〇〇市の概要」というところから説明が始まります。

上尾市は県庁所在地さいたま市に隣接するベッドタウンで、人口23万人。目を引いたのは、転入超過で全国トップ20に入り、特に子育て世代の流入が顕著なこと。

 

関西で言えば明石市を想起する内容ですが、「〇〇無償化」のようなキャッチーな子育て施策を大々的に打ち出しているわけではなさそうです(質問しましたが、特に出てこず)

一方で、後述のケアラー支援や、障がい児支援の中枢施設AGECOCOなど、課題のある子どもへの支援に注力しており、「条例」や「施設」がそのシンボリックなものとなって、発信に寄与しているようにも思えました。

 

転入超過は交通アクセスや地価などの多様な要因が絡むため、分析は簡単ではありませんが、堺市も同じ「大都市に隣接するベッドタウン」です。

ケアラー支援条例だけでなく、子どもの権利条例もない堺市。障がい児支援の中枢施設「子ども北リハビリテーションセンター」の民間委託を進めようとする堺市。

 

市としての子ども施策に対する姿勢の発信の仕方、子育て世代への伝わり方についても、ちゃんと考えるべきでしょう

 

上尾市の若者ケアラー支援条例

上尾市の条例の最大の特長は「ヤングケアラー」ではなく、「若者ケアラー」としていることです(このような打ち出しは上尾市が全国初だそうです)

 

ヤングケアラーは、冒頭に述べた通り「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども(文部科学省HPより)」とされており、つまりは「子ども=18歳未満」なのです。

それに対し、上尾市が「若者ケアラー」としたことは、「18歳で壁を作らずに、必要な人には継続的に支援する」という姿勢の表れなのです。

 

このことは、従来の「子ども(=18歳未満)」という定義ではなく、「こども」と表記し、「18歳以降でも子どもと同様の支援が必要な人」をも含めるようにした、こども家庭庁及びこども基本法の理念にも合致するものです。

 

堺市でのケアラー条例の制定(するかどうかは未定ですが)において、そして子ども青少年への支援施策においても、「18歳で支援の切れ目を作らないこと」が大変重要な点だと言えます。

この姿勢をぜひ見習ってもらいたいものです。

 

上尾市の具体的な取り組み

上尾市の若者ケアラー支援に関連する取り組みは、主に以下のようなものでした。

・ヤングケアラー実態調査の実施

・ヤングケアラーコーディネーターの配置

・オンラインサロンの設置運営

・子ども家庭総合支援センターへの窓口一本化

・子ども若者支援地域協議会を中心とした支援

・ヤングケアラーへの理解促進のためのシンポジウム

 

この中で堺市も参考にすべき点としては、

 

  • 実態調査が小4から中3までと幅広く(堺市は小5と中2で実施予定)、学校で配布されたタブレットを活用し、効率的に収集している点

 

  • 関係機関、支援団体が多岐にわたる可能性のあるケアラー支援において、中心となる組織、人物を明確にしている点

 

  • コーディネーターを外部委託ではなく、正職員として雇用している点(堺市で担うとすればユースサポートセンターが想定されるが、外部委託)

 

以上のような積極的な上尾市の姿勢は、ケアラー支援条例という裏付けがあるからこそでしょう。

 

上尾市の他の取り組み

上尾市にはケアラー支援に留まらず、子ども子育て関連、孤独孤立対策関連で、私が注目した取り組みがありました。

 

■公立中から私立も含む高校への、課題のある子への支援の引継ぎ

堺市ではほとんどなされておらず、私自身、問題だと感じてきました。子どもが多くの時間を過ごす学校(高校)と、行政との連携は不可欠であり、支援の切れ目をつくらないためにも、中から高への支援の接続は不可欠です。

 

■孤独孤立対策地域協議会の設置

孤独孤立対策推進法で努力義務が課せられいる「地域協議会」について、堺市は「他市の動向を見ながら」と、まるで他人事のような姿勢です。上尾市ではすでに機能している「子ども・若者支援地域協議会」を発展させることを視野に入れて、検討を進めています。

 

これらはぜひ堺市においても積極的に提案していきたいと考えています。

 

上尾市の職員から感じたプライド

そのほか、視察の受け入れを担当してくださった職員さんとは、多岐にわたり意見交換しました。そこで感じたのは、職員としてのプライドでした。

 

埼玉県が全国の都道府県で真っ先にヤングケアラー支援条例を作ったこともあり、県内自治体では、上尾市以外にも積極的に支援施策を打ち出している自治体があります。

その中で「ヘルパー派遣」を実施している自治体があり、それについて意見を求めたところ、キッパリと「目指しているところとは違う」とおっしゃられました(個人的な見解だとは思います)

 

また。堺市が障がい児支援の中枢施設である「北こどもリハビリテーションセンター」の運営を外部委託しようとしていることについては、「障がい児支援は公共の責任です」とおっしゃられ、上尾市の同様の施設であるAGECOCO(直営)では「考えられない」とのことでした。

他市のこと(ましてや一方は私自身の堺市のこと)なので、お茶を濁すかと思ったのですが、明確にスタンスを語られる姿には、職員としてのプライドを感じ、私も刺激を受けました。

 

 

いわゆる座学での視察(レクと意見交換)でしたが、やり取りは2時間近くになりました。

すべてをここで書ききることは難しいのですが、先を行く上尾市の取り組みは、堺市の今後のケアラー支援におおいに役立つものでした。

議会の場でも紹介、提案していく予定です。ぜひ期待して見ていてください。

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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