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堺に児童自立支援施設を

児童自立支援施設の建設に関して、大阪維新の会堺市議会議員団が迷走しています。

児童自立支援施設とは、児童福祉法に基づく児童福祉施設で、不良行為をした児童やそのおそれのある児童、あるいは虐待を受けた経験や発達障害、いじめといった家庭環境やその他の理由により、生活指導等を要する児童が入所対象となっています。住み込みの施設です。

施設(ハード)としては「宿舎等も整備された中学校」と言ったところで、他にも、例えば農地など、児童が落ち着きを取り戻せるよう、自然に触れられる環境があったり、周辺の影響を過度に受けないよう、一定の広さが確保されたりしています(例えば、宿舎のそばが幹線道路で、暴走族の音が聞こえる、、なんてことはないような配慮がされています)。

 

ソフト面では、困難な課題を抱えた児童の自立のために、様々な専門家のサポートが用意されています。

しばしば少年院などと混同されるケースがありますが、必ずしも「罪を犯した児童」だけが対象ではなく、そうした児童であっても、少年院に比べると、軽微な事案の児童が対象です。

そして、この児童自立支援施設は、法律により、「政令指定都市に必置義務が課せられている施設」なのです。

ただ、必置義務とは言え、現実的にはかなりの経費がかかるということもあり、都道府県が運営する児童自立支援施設に、一定の経費負担を条件に、ある程度の枠をもらっているというケースが大半です。そして、堺市も大阪府の修徳学院に21人の枠をもらって、対応してきました(現実の運用では、必ずしも堺市の子どもが21人は入れるとは限らない)。

 

しかし、大阪府の修徳学院も、大阪市が運営する阿武山学園も、定員いっぱいの状態が続いており、「本来入所すべきなのに、入所できず、地域でサポートを受けている児童」や、「他県の施設に入所する児童」もいます。当然、その中には、堺市の子どももいます。

こうした状態は、本人はもとより、それをサポートする人たち、また本人の周りの子どもたちにとっても、決して望まれる状況ではありません。

 

そこで、堺市では、長らく、独自の建設(必置義務を果たす)に向けた議論が続いてきました。

ここで、関係者の言動や、考えをまとめてみます。

 

■橋下知事(当時)

政令指定都市としての義務を果たすよう(堺市で建設するよう)、再三要求し、平成231月には、大阪府と堺市との協定(21人枠の確保)を1年ごとの見直しにすることに。要するに「早く作らないと、協定を延長しませんよ」という圧力です。(やり方は強引ですが、その影響も少なからずあって堺市が決断できたので、時にそういう駆け引きも必要だという、一つの好例だと思います)

 

■松井知事

1年ごとの協定締結と、早期建設を求めるスタンスを継続。大阪府の修徳学院を視察した際には、「家庭的な雰囲気が望ましい」旨の発言。つまりこれは、修徳学院を大規模化することへの反対表明であり、堺市の建設を促すメッセージともなりました。

 

■堺市議会(平成22年まで)

池尻秀樹議員(当時・ソレイユ堺、現在・自民党)、米田敏文議員(維新)が、議会において建設を強く主張。

 

■竹山市長

平成22年までは消極的な姿勢だったが、平成231月に建設に向けた検討を進める旨の表明。橋下知事の強気の姿勢が、少なからず影響したものと思われますし、もちろん、議会での池尻、米田両議員の主張も、後押しになったことでしょう。

 

 

となると、関係者が党派を超えて、堺市での建設に向けて、一致団結しているようにも見えますが、、、

 

ここで態度を豹変させたのが、大阪維新の会堺市議会議員団でした。(米田議員が建設を主張していたにもかかわらず!)

 

竹山市長が建設に舵を切って以降、多くの会派が賛成を表明する中、なぜか維新の会だけは、「大阪府との再協議」を要求し始めたのです。また、議会でも平成24年の予算審査特別委員会で、維新の会の井関議員が「過大な投資」「堺市が行う必要がない」と、明確に反対の意思を表明します。その後も、多くの維新の議員が、議会で反対を表明します。さらには、維新プレス(チラシ)でも、反対の考えが示され、あちらこちらで配られたのです(このチラシの発行者は「大阪維新の会」で、その時の代表は橋下さんだったんですが…)。

 

 

現在は、建設候補地も見つかり、地元調整も始まっています。そんな中、いつまでも議会の最大会派が横を向いている状況は、好ましいものではありません。

 

そこで、私は、この八月定例会の健康福祉委員会において、本件に関する「委員間協議」を申し入れたのです。

 

ところが、ある委員から、「対立構図にないものについては、議論しづらい」との見解が示されました。たしかに、その意見は一理あります。

そこで私は、「維新の会は、『府との再協議』を主張し、堺での建設に反対の姿勢を示してきた。大阪府も、堺市も『堺市が建設』で合意している中、『再協議をせよ』というからには、『堺市が建設』ではない、対案をお持ちのはず。それを披露して頂き、議論するのはどうか。」と提案しました。

 

すると、それに対して、健康福祉委員会委員長でもある維新の議員から返ってきたのは、「対案なんてないよ」という言葉でした。そして、彼(委員長)の判断で「委員間協議」を開催しない決定がなされたのです。

 

私は、空いた口が塞がらず、肩の力が抜けるようでした。

 

これまで、反対してきたのは、なんだったのでしょうか。

 

例えば「現状維持」であってもいいのです。彼らなりの対案があるものとばかり思っていました。議論をすること、そして対案を示すことを、維新は大事にしてきたように、私は思っていましたが、どうやら、現場ではそうでもなかったようです。

 

まさに、反対のための反対であったのでしょう。

 

米田議員が主張し、橋下知事の強いプレッシャーもあって、ようやく堺市も重い腰を上げられた、そんな案件です。せめてこのような案件くらい、協力姿勢が示されてしかるべきだと思います。

 

これは、困難を抱える子どもたちのために「必要な施設」なのです。

一見、迷惑施設のように捉えられ、周辺住民から反対の声が挙がることもあります。しかし、それを煽るのではなく、むしろ市民と行政の間に入り、誤解を解き、うまく地域に理解してもらえるよう努力するのが、地元議員の務めでもあると思います。

建設候補地の区にも、維新の議員さんがいらっしゃいます。橋下氏や、松井知事の思いも酌んで、そうした役目を果たしてくださることを、期待したいものです。

 

堺の子どもたちのために、堺の堺による児童自立支援施設を。

そのために、決して政争の具になどすることなく、党派を超えて協力を。
私は、一日も早い、施設の整備を望みます。

 

 

この件に関して、あれこれ書き出すとキリがないので、この辺りでとどめておきます。

 

 

 

 

 

堺市議会議員  ふちがみ猛志

意見・提案