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堺東の再開発は小さくまとまらずに

こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

堺市の中心的な繁華街と言えば、堺東。ガシですね。

私の母校・殿馬場中学校の校区であり、私が通っていた塾もここにありました(その名も堺東ゼミ、通称ガシゼミ)。私にとっては、とても馴染み深い場所です。

 

さて、その堺東のランドマークと言えば???

 

ABホテル!

 

と言う人はきっといないでしょうね。

堺市役所か、ジョルノか、駅ビルか、、、といったところでしょうか。

 

私が中学生のころは今よりもずいぶんと賑わっていた堺東です。今日はその堺東の再開発について書こうと思います。

 

突然示された再開発の絵の

昨年10月、突然に堺東の再開発の絵姿が示されました。

あくまでもアドバイザーに選定された民間事業者の『私案』だそうですが、当然、この案を見てアドバイザーに選んでいるわけですから、永藤市長や担当者のお気に召した案であることは間違いないでしょう。

また、それが堺市のホームページに掲載されていたことからも(※)、細かい部分はさておき、大筋の方向性については「堺市がそのように進めるつもり」と理解して間違いないはずです。

 

その再開発案に書かれた堺東の3か所のプロジェクトのうち、特に私が問題視したのは南瓦町2丁目(堺郵便局・年金事務所等)を中心とした再開発です。

 

(※)ホームページに掲載された案には、起案した事業者とは別の企業が、再開発ビルに入居することが内定しているかのような記載があり、「公費が投じられるであろう再開発において、恩恵を受ける企業が事前に決定しているかのような表記は問題」と指摘し、当局は「誤解を与える」として、ホームページから削除しました。李下に冠を正さずです。

 

吉川議員の憂慮は現実に

南瓦町2丁の再開発案について、議会で取り上げるつもりだった私は、過去の堺東に関連した議事録に改めて目を通していきました。そこで目に留まったものがありました。それは、平成28年12月の本会議での公明党・吉川敏文議員の質疑でした。

 

当時、堺市役所前の市が所有する博愛ビルの建て替えが検討されていました。

博愛ビルは堺市役所前交差点に面した角地の一等地であるものの、建物面積は100坪ほど。その隣には堀ビル、さらにそれらをぐるりと囲む形で、大徳ビルという民間所有のビルがありました。

※地図の黄色マーカーが旧・博愛ビル(今のABホテル)、緑が隣の堀ビル、オレンジがぐるりと取り囲む形の大徳ビル

 

堺市当局は博愛ビルを建て替えて「堺東のランドマークに」と言ってはいましたが、それに対し吉川議員は、

わずか100坪でランドマークになるとは想像できない。

周辺のビルにも含んだ再開発にすべきではないか。

という主旨の主張されていました。私も当時、「そりゃ、そうや」と思ったことをよく覚えています。

 

結局、博愛ビルは単独(100坪)で建て替えられることとなり、今のABホテルへと生まれ変わりました。

一方で、大徳ビルはその後に所有者が変わった影響もあるのか、現在はテナントの多くが空いてしまっています。

 

ABホテルさんはABホテルさんとして、立派にホテル経営をされていると思いますし、繁華街のビジネスホテルとして、周辺に相応の影響も与えてくれているとは思います。

しかしながら、それが(当局が説明した)「堺東のランドマーク」と言えるものでないことは誰の目にも明らかで、吉川議員が憂慮したことは、まさに現実のものとなったわけです。

※ABホテルとそれを取り囲む形の大徳ビル

 

あの時、大徳ビルも含んだ再開発ができていれば…、ホテルにしろ、商業施設にしろ、コンベンションスペースにしろ、今とは違う「堺東のランドマーク」に出来ていたのではないかと思えてなりません。

もし、大徳ビルのオーナーに声をかけダメだったのなら仕方ないのですが、おそらくそんなこともせず、博愛ビル単独で建て替えたのだろうと思います。

 

南瓦町の再開発は同じ轍を踏む?

博愛ビルの一件は前市政での話です。

永藤市政において、「同じ轍を踏むのではないか、それもさらに大きな規模で」と私が懸念しているのが、南瓦町の再開発です。

 

ホームページに(一時期)公表された資料によれば、再開発の対象エリアは今の堺郵便局、合同庁舎駐輪所(等)、年金事務所です。他人の所有する建物の今後について公表しているわけですから、それぞれの所有者である日本郵政株式会社、財務省、年金機構には声くらいかけていることでしょう。

一方で、その対象エリアの後背地となる拘置所と拘置所宿舎は、その対象となっていません。また、その所有者である法務省には声すらかけていませんでした(私が指摘するまでは)

 

仮に、拘置所と拘置所宿舎の土地を再開発のエリア(地図イラスト青枠部分)に加えられたら…

さらにその後背地となる合同庁舎駐車場、堺市総合福祉会館(緑枠部分)の土地も再開発に加えられるはずです。前者はすでに声をかけているはずの財務省の所有、後者は堺市の建物です。しかも築約50年で老朽化も進んでいる施設、どのみち遠からずに更新が必要です。

 

原案の対象エリアは約6000㎡。

拘置所や総合福祉会館等を加えられたら、1haを優に超え、3面を道路に面した土地となります

 

堺市は昨年のG7の貿易大臣会合を機に、国際会議等の誘致に積極的に乗り出すそうです。しかし、堺市はコンベンション機能が不足しており、当局もそれを課題と認識しています。

もし、私が言うような再開発にできたなら、大規模なシティホテルの誘致も可能となるでしょう。あるいは、議会でも盛んに議論されている中央図書館の建て替え・移転ができるかもしれません。

 

いずれにしても、再開発で誘致する施設の選択肢が一気に広がるはずです。堺東の活性化に資する再開発にできるのは…、自ずと明らかでしょう。

 

議会の指摘で動きはあったが

もちろん、この話は法務省の判断があってこそです。

 

しかし、法務省が自ら拘置所等の土地を再開発に提供するわけもなく、堺市が声をかけてこそ検討してもらえる(かもしれない)です。

 

「まずは声をかけるように」と議会で求め、その後、現場レベルでは対話があったと確認しています。また、旧知の国会議員に確認してもらったところ、その話が法務省の本庁の耳にも届いているようです。

 

拘置所も築50年ほどになりますし、必ずしもあの場所にないとダメな施設ではありません(裁判所、検察庁等と近いのは便利ではありますが、それらと離れた拘置所はいくらでもある)。また、堺市には大阪刑務所とその関連施設という、法務省が所管する広大な土地があります。刑務所本体はともかく、官舎等の関連施設をうまく集約すれば、拘置所をそこに移転させるスペースを確保することくらい訳ないはずです。

 

あとは誰が判断し、誰がお金を出すのか。

堺東の再開発は堺市にとって極めて重大な案件ですし、堺市・法務省双方、到底現場職員に判断できるものではありません。

ぜひ、様々なルートを駆使し、もちろんどこかの場面では市長自身にも出てもらい、高度な政治判断に繋げて欲しいと思います。

 

小さくまとめようとするのは役所の性?

先に述べた博愛ビルの件しかり、今回の南瓦町の件しかり。役所というものは、利害関係者を増やしたがらず、話を小さくまとめようとするきらいがあるように感じます。

もちろんそれでうまくいく、話が早く進むこともあるわけですが、まちづくりはそうではないと思うのです。

いったん小さく進めてしまえば、あとから大きくすること、変更することは簡単ではありません

 

まちづくりは50年先、あるいはそれ以上先を見据えてやるものです。

 

利害関係者が増えることで話がまとまりにくくなり、その結果として開始が何年か遅れたとしても、もしそれでよりよいものになるのならば、一向にかまわないと思うのです(※)

 

基本的にまちづくりは前向きな話ですから、ぜひその労をいとわず、夢を語るような気持ちで、堺東の未来を形作ってほしいと思っています。

 

(※念のため)

私は大小路の堺消防署の移転後の跡地活用について、検討が遅れていて「2年以上空き地になる」ことを議会で批判しており、これを読んだ職員が「遅れていいの?あかんの?どっち?」と思われるかもしれません。

堺消防署は移転時期がずいぶん前から決まっている案件。つまり期限が明確な仕事です。遅れたら空き地になるだけ。また、隣の警察署は築年数から考えて、当面の間は移転するはずもありません。

南瓦町は計画が遅れても、今の施設の利用期間がその分長くなるだけ。また、先述の通り拘置所等は必ずしもそこにある必要のない、老朽施設です。

加えて言えば、あくまで「結果として遅れても仕方ない」と言っているのみで、スケジュール感を持った検討は当然必要です。消防署の跡地活用の検討には、それがないことを批判したのでした。

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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