夜間学校卒業式
殿馬場中学校の夜間学級の卒業式に、一般参加させてもらいました。
夜間学級(夜間中学)は、何らかの理由で義務教育を修了できなかった方々のための、学びの場で、全国に31校があります(殿馬場中学校の夜間学級は、その中で最大規模)。
かつては、戦中戦後の混乱の中で義務教育を修了できなかった方々が、その後は中国残留日本人孤児の方々が、最近では、母国で義務教育を受けられなかった外国籍の方々が増えています。
殿馬場中学校は私の母校ですし、以前より、お付き合いのある教師の方から、「議員として、夜間学級を実際に見て、大事さを知ってほしい」との話もありました。また、「夜間学級の卒業式は、他の卒業式とは違うから、感じるものがあるはず」との話も聞き、かねてより、ぜひ一度見てみたいと思っていました。
以前、授業の様子を視察させてもらったこともありましたし、そこで無理をお願いし、保護者席の末席で見学させてもらったのです。
さて、その夜間学級の卒業式ですが、本当に感動的でした。
卒業生が全員で8名。
年齢も、国籍も、経歴も様々です。
ただ、全員に共通しているのは、自ら「学びたい」と思って、ここに来ていることです。
人数が少ないこともあって、担任の先生から卒業生一人一人へ、お祝いのメッセージが送られ、逆に卒業生一人一人から先生へ、お礼のメッセージが送られました。
義務教育すら修了できなかった外国籍の方が、ここで日本語を学び、「将来は弁護士に」と希望を持たれたこと。
漢字が読めなかったご高齢の方が、ここでそれが読めるようになり、学ぶ喜びを知り、何より、仲間ができたこと。
一つ一つの話が感動的でした。
また、校長先生からのお祝いの言葉も大変素晴らしく感動しました。
ここの校長になるまで、国籍も年齢も多様な生徒が、これほどたくさん、ここで学んでいるということを知らなかった。
ここで生徒の皆さんから「学ぶ姿勢」「学びの原点」を教えてもらった。
学べる喜び、教える楽しみを知った。
皆さんにはこれからも学び続けてほしい。そして、私たちも学び続けたい。
そういった、メッセージでした。(記憶のうちから、抜粋)
ベテランの先生でも、ここで学びを得ているのです。
校長先生のおっしゃる「学びの原点」の一端を、私も感じることができました。
90才を過ぎても、ここで学んでいる方がいらっしゃいます。
何才になっても衰えない、学びへの意欲・姿勢には、本当に頭が下がる思いです。
果たして、自分はどうだろうか?と考えずにはいられません。
また同時に、ここに来る多くの方が、社会の不条理で、学びの機会を逸した方です。
その理由も、実に様々です。
思い返せば、私も殿馬場中学校に通い、放課後、遅くなると、夜間学級にやってくるおじいちゃんや、おばあちゃんを見てきました。
平仮名で書かれた、夜間学級の看板を見てきました。
そうした中で、私も子どもながらに「義務教育という当たり前が、当たり前でない方の存在」、「その背景となる不条理の存在」、そういったものを知ることができたように思います。
夜間学級の卒業式に来て、人としての「学び」への刺激、議員としての「責任感」への刺激を、たっぷりといただきました。
こうした学びの場があることは、堺市の誇りです。
私もまだまだ微力ですが、この殿馬場中学校夜間学級を、しっかり応援していきたいと思います。
堺市議会議員 ふちがみ猛志