審議会は何のために
こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。
私が議員になって9年近くになりますが、私が疑問を感じ続けてきたのが審議会(等)のあり方です。
審議会(等)は堺市に100以上設置されています。
名称が審議会とか、協議会とか、調査会とか、審査会とか、いろいろあるので審議会「(等)」と書いていますが、それらに違いはあまりないので、このブログでは以下、「審議会」とさせてもらい、「(等)」も省略させてもらいます。
審議会の設置目的はそれぞれ条例に定められていますが、ざっと言えば、堺市の様々な計画に、その策定段階や運用後のチェック段階で有識者や市民等の意見を反映させるためです。
※審議会の参考イメージです(堺市ではありません)。
今日はその委員の人選についての疑問を書こうと思います。
委員の人選の規定
審議会ごとにその設置根拠となる条例が定められていて、そこには審議会の設置目的や扱う事務の他、委員の人選についての規定があります。
それは条例(審議会)によって様々ですが、たいていは、
「学識経験者」
「〇〇に係る関係団体から選出された者」
「〇〇に関する事業に従事する者」
などが多く、
「堺市議会議員」が加わることもあり、私もこれまでいくつもの審議会委員を務めました。
そして、その委員構成に必ずと言っていいほど加わるのが、
「市長が適当と認める者」
です。私はこの人選がやっかいだと思っています。
※健康施策推進協議会条例より
市長が適当と認める不適当な委員
「市長が適当と認める者」とあっても、実際に市長自身が選んでいるわけではありません。そんなことしていたら身体が何個あっても・・ですよね。
実際には大きく二つのパターンがあります。
一つは市民公募です。
この場合、役所の審議会委員に応募してくるぐらいですから、多くの場合はその分野に関心のある市民さん、やる気のある市民さんが入ってこられます。これはヨシです。
もう一つは堺市が日頃関わりのある地域団体から構成員を推薦してもらうパターンです。私が疑問に思うのはこのパターンで、もちろん素晴らしい委員さんが選ばれることもありますが、「不適当」と思われる方が選ばれてしまうことが、しばしば見られるのです。
私が出くわした事例
以前、私が委員になった審議会で「不適当」と思われる事例がありました。ある委員が、市の目指す方向性と全く真逆の意見を述べたのです。
私は(このあとに記載する通り)その委員さんやその発言を責めたいわけでは決してないので、「これくらい真逆の意見だった」というイメージを例示させてもらいますと、
仮にそれが、、、、
環境審議会だったとしたら、「温暖化は捏造であり、CO2削減は必要ない」。
スポーツ推進審議会だったとしたら、「スポーツは金持ちと健康な人間の道楽だ」。
子ども子育て会議だったとしたら、「子育ては女がやるべきものだ」。
景観審議会であったとしたら、「ド派手こそが大阪堺の目指すべき景観だ」
消費者生活審議会だったとしたら、「悪徳商法は被害に遭う方が悪い」。
という『くらい』の、市の目指す方向と真逆の意見でした。
※あくまで「それくらい真逆」という『例示』であり、必ずしも実際の発言ではありません。
果たしてこのような意見(考え方)の委員が「市長が適当と認める者」だったのでしょうか。
「市の方向性と逆の意見も聴きたいから、あえて委員になってもらった」というのならいいのですが、実態はそうではありませんでした。当局も「まさかそんなお考えとは!」と発言を聞いてビックリだったのです。
問題は委員や団体ではなく当局
この件でしつこく言いたいのは、そのような考えを持った委員さんが悪いわけではないということです。先ほど例示したような考え方も、世間では少なからずあるものですし、そんな考えをなさることも自由です。
問題は、堺市当局の人選のいい加減さです。
先に「堺市が日頃関わりのある地域団体から構成員を推薦してもらうパターン」と書きました。こうして地域団体に推薦を求めることも、私は結構かと思います。市役所が、82万人市民から一本釣りで人選していくのも、現実的ではありませんから。
私が問題だと思っているのは、
推薦をお願いする地域団体に、その審議会の主旨・役割や市の施策の方向性をちゃんと説明しないまま人選してもらっていること。
同様に、地域団体が推薦してきた人物(委員の候補)に対して、ちゃんと説明せずに、そのままスルーで委嘱してしまっていること。
この二つです。
結果として、上記のような意見をされる方のほか、まったく発言せず座っているだけという委員も少なからずいらっしゃいます。(日当10,200円)
これも座っているだけの委員さんが悪いというより、「よく知りもしない審議会の委員にさせられてしまった」というだけで、人選の前後でろくに説明もせず、「適当と認めた」堺市が悪いのだと思います。
派閥人事と似てはいないか
これは余談になりますが、昨今、自民党内の「派閥」が話題になっています。
※NHKウェブニュースより
そこで派閥の弊害としてよく指摘されているのが、派閥人事です。
派閥の推薦をそのまま受け入れて、不適格な大臣・副大臣・政務官が誕生してしまうことです。
私はなんだかこれにも似ているなぁと思ってしまいます。
結局誰が悪いの?って、適材適所でも何でもない大臣を任命した総理大臣が悪いのです。
派閥に推薦を求めるのだとしても、大臣ごとにそれぞれ必要な特性・知識・経験等が違いますから、その要件もセットで推薦を求めているのか。派閥からの推薦後、本人もそれを認識し、「自分が適任だ」と思って就任しているのか。
スケールや責任の重さはまったく違うのですが、、、つい似ているように感じてしまいます。
審議会はアリバイ作りの場ではない
そもそもの問題は、審議会を大事にしていない担当者が多いことです(と私は思います)。
だから、審議会委員の人選もいい加減になるのです。
私が以前、ある審議会で意見をしたら、その場で、当局から聞きおくだけで、反映どころか、その検討もしない旨の回答ありました。
だったら、何のための審議会やねん!!
と私は怒りに震え、抗議しました。
「意見は聞くだけ、反映・検討はできない」ならば、審議会なんて開く必要はありません。きっと彼らが欲しかったのは「審議会を開いて意見を聞いた」というアリバイだったのでしょう。
そりゃ、職員だけで計画を最初から最後まで作った方が楽です。でも、その「市民や有識者の意見を聞く」という労力が、よりよい計画を作り、よりよい事務執行に繋がり、よりよい市民生活に繋がり、その後の行政事務の軽減にも繋がるのだと私は確信しています。
「意見を聞く大事さ」をもっと認識していれば、このような審議会委員の人選にはならないだろうと思います。
これは程度の差こそあれ、多くの審議会で感じてきたことです。
そして自戒の念も込め、私たち議員も、審議会委員になるにあたってはその自覚が必要だと思います。
私はその自覚のもと、審議会をより有意義なものにし、職員にその自覚を持ってもらうため、そしてよりよい人選とより有意義な運営の好循環を作っていくためにも、今後も審議会では積極的に意見していくつもりです。
堺市議会議員ふちがみ猛志
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