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政治にはお金がかかるという現実を説明すべき

最近、国会議員の「文書通信交通滞在費」が話題になっています。

国会議員1人に毎月100万円支給される、交通費や通信費のことで、

 

①領収書がいらない渡し切り

②同月に1日だけでも国会議員であれば全額支給

という2つのことが問題視されています。

 

特に今回は、10月31日に選挙の投開票が行われ、少なくとも新人議員に対しては、「10月は1日だけ国会議員」となっただけで「10月分100万円」が支給されることとなり、②がクローズアップされることになりました。

早速、各政党がこの件について発信しており、②については法改正して、就任日数から日割り計算できるようにする方向のようです。これは当然のことでしょう。

①についても、地方議員の政務活動費のように、「領収書が必要、余ったら返金」にすべきだという意見が出ており、それもまた当然であろうと思います。どう決着するのか、注目したいと思います。

 

この他、国会議員にまつわるお金と言えば、政党交付金や、立法事務費などが、歳費(報酬)とは別に支出されており、これらのお金についても、議論が及ぶ可能性もあります。

 

私は、世間の常識にあまりにそぐわない①や②の改正はもちろん、「国会議員(もしくは政党や会派)にお金を支給する制度」がいくつも存在しているのを整理し、制度そのものをわかりやすく、そして「政治にどれだけお金がかかっているか」を見えやすくすることは、非常に大事だと思っています。ぜひ進めてもらいたいところです。

ただ、そこで「お金がかかっているから、政治家は厚遇だ」「だから減らすべきだ」というような、安易な議論に陥らないことが大事だとも思っています。

 

私は何度も、このブログにも書いてきましたが、改めて書きたいと思います。

 

政治活動にはお金がかかるんです。

そして、「頑張って活動すればするほどかかる」んです。

このことは、ぜひ皆様にも知って頂きたい事実です。

 

そしてこのことを、政治の場に身を置く人間ならば、大なり小なり分かっているはずです。自らの活動を矮小化することなく、政治家はそれを真摯に国民、市民に説明していくべきです。

 

例えば、私の場合、1回チラシを発行すると、印刷代で約30万円かかります。

仮にそれをすべてポスティングすると、さらに40万円ほどかかります。

5000人に郵送すると、封筒代も含めて30万円以上かかります。(割引制度を活用)

 

政令市の市議で選挙区が区割りされているから(選挙区が小さいから)その程度で済みますが、衆議院議員が同じことをしようとすると、その3倍近いお金がかかります。

中核都市の市議でも、そうです(政令市より選挙区が大きいことがある)。

 

もちろん、ポスティングはできるだけボランティアに頼ったり、郵送も頻度や、郵送人数を絞ったりして、節約に努めていますが、減らすにも限界があります。

チラシの発行は、「市民への説明責任」という重要な義務でもありますから、議員個々の考えにもよりますが、私は議会定例会と同じ数、つまり年4回は必要だと思っています。

 

当然、チラシだけではありません。

市民に開かれた活動をするには、事務所くらいは必要でしょう。

事務所を開けば、人件費が必要にもなるでしょう。

本気で勉強しようと思えば、研修や視察にお金がかかるでしょう。

 

まあ、とにかくお金がかかるわけです。

繰り返しますが、頑張れば頑張るほどお金がかかるんです。これがポイントです。

 

だから、逆に言えば、そのための資金を減らせば減らすほど、活動が制約されてしまいます。

そして、「はじめからお金を持っている人」が相対的に有利になってしまいます。

いわゆる、「地盤、看板、カバン」のない、ごく普通の市民が政治に参画することが難しくなっていきます。

 

あえて申し上げますが、「文書通信交通滞在費」という名目はさておき、月100万円くらいの活動費は、国会議員ならば絶対に必要です。

ただ、領収書が必要ないということが問題であって、だから「どうせポケットに入れている」という疑念が湧くのです。(現に、活動もろくにせずに、そのようなことをしている議員もいるでしょう)

 

今回、文書通信交通滞在費という国会議員のお金に絡む問題に光が当たったのは、よかったと思います。

 

ぜひこの機会に、

 

1.政治にはお金がかかることをちゃんと説明する

2.国民のために活動する上で必要なお金はちゃんと措置する

3.そのお金の使い道はちゃんとオープンにする

4.お金がかかっている分、国民はちゃんと議員をチェックする

5.厳しい目にさらされて、議員は一層ちゃんと活動する

 

という方向で進むことを期待しています。

 

蛇足になりますが、国会議員も地方議員も、『政治全体にかかるお金の総額自体は維持しながら』、「報酬は減らすけども、その分、活動経費は増やす」という方向性が理想だと思います。また、国会議員について言えば、お金よりも、公設秘書を増やすなど、お金以外の割合を増やしていくことが望ましいと、私は思っています。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

 

 

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