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政治資金パーティーは悪なのか

こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

自民党の派閥による裏金問題をきっかけに、政治とカネの問題が盛んに議論されています。

その中心的テーマの一つが「政治資金パーティーの是非」です。

 

与党自民党はこの問題の発端であるにもかかわらず、政治資金パーティーの規制に最も消極的であり、

 

また野党第一党である立憲民主党も、「政治資金パーティーの禁止」を打ち出したにもかかわらず、その法案が成立していない段階だからと、一部の党役員がパーティーの開催を予定し(※)

 

双方が多くの批判を浴びています。

(※)批判を受けて中止したようです。↓↓↓

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240525-OYT1T50117/

 

ちなみに野党第二党である維新の会も、この5月に党所属議員が政治資金パーティーを開催したようで、まあ似たり寄ったりですね。(以下URL 文春記事参照)

https://bunshun.jp/articles/-/70293?page=1

 

私自身は議員として政治資金パーティーを開催したことがありませんし、今後も開催する予定はありません。(ただし、過去に秘書として開催に携わったことはあります)

 

このところの報道や、各党の立ち回りを見て思うところもあり、議員としてやったことはないフラットな立場、しかし秘書として実態を知る立場として、政治資金パーティーについて書こうと思います。

 

政治資金パーティーの実態

「政治資金パーティー」って、そもそも呼び方自体が胡散臭いですよね(笑)

 

ご存じない方のために書きますが、

 

たいていの政治資金パーティーは、「〇〇議員を励ます会」とか、「衆議院議員〇〇 △△セミナー」などと言った名称で、主にホテルなんかで開催されます。

※問題となった自民党安倍派のパーティー(読売新聞ニュースより)

 

多くは飲食付きとなっていて、有名人や有識者、あるいは政治家本人の講演などがセットになっていることもよくあります。

 

参加費(パーティー券代)はそれぞれですが、地方議員ならば1万円くらい、国会議員ですと2万円で設定しているケースが多いでしょう。

ホテルと言っても、たいていは立食やビュッフェだったり、お弁当だったり、軽食程度だったりするので、経費は一人あたり4、5000円、あるいはせいぜい7000円くらいですね。それと会費との差額が、政治家の収入(政治資金)となるわけです。中には会費1万円の朝食会なんてのもあります。

利益率が7~8割になることも珍しくありません。これだけ聞くと、なんだかあくどい話ですよね。

 

政治資金パーティー自体は悪ではない

私も「利益を載せない食事付きの催し」であれば、時々開催しています。

飲食代の経費分だけ、会費として頂戴した懇親会です。飲食をすれば話も弾みますし、特定の議員を応援している者同士の交流を楽しまれる方もいます。私にとっては市政報告の場でもあります。

この催しをダメだと思う人は、おそらくほとんどいないでしょう。

 

さらに私は多くの個人献金(カンパ)を頂戴しています。

金額はまちまちですが、「ふちがみを応援しよう」というたくさんの方々からの金銭的支援があればこそ、大量のチラシを発行したり、事務所を維持できたりしています。私の活動が成り立つのは、個人献金のおかげです。

この個人献金についても、否定される方はあまりいないと思います。

 

その両方がOKならば、政治資金パーティーをこう捉えたらどうでしょうか?

 

「飲食の食事代+定額個人献金」なんだと。

5000円の飲食代と、5000円の個人献金、それで会費1万円。

 

そうなんだと思うと、政治資金パーティーそのものが悪いわけではないのだと、ある程度は理解してもらえると思います。

 

じゃあ何がダメなのか?

 

「個人献金」ではなく、「企業献金」が含まれていること

そして、収支の中身が非常に不透明であることです。

 

政治資金パーティーの問題部分

政治家(およびその政治団体)がもらえる寄附は、個人か政治団体からに限られます。

企業や(政治団体以外の)団体からの寄附は認められていません

 

しかし、企業や団体でもパーティー券の購入は可能です。これは違法な企業団体献金の抜け穴だとよく指摘されていますし、まさにその通りでしょう。

また、企業や団体によっては、パーティー券を大量購入したのに「誰もパーティーに参加しない」というケースもあります。参加者がいなければ、飲食経費は掛かりませんので、「利益率100%」の完全な「企業団体献金」です。

 

また、個人献金は5万円を超えると、収支報告書に氏名や金額等を記載する必要があります。一方、政治資金パーティーは20万円以下ならば公開しなくても構いません。

企業によっては、子会社などを使って分散購入し、実質的に何百万円も買っているのに記載はない。なんてことも、この世界ではよく見聞きする話です。

 

寄附を1円単位で公開せよと言われてしまうと、こっそり応援したい人はいくらでもいますし、(応援する側の)政治活動の自由を侵しかねないと私は思います。

感覚は人それぞれでしょうが、1~3万円くらいは、結婚や引っ越しのご祝儀であったり、病気のお見舞いだったり、旅行の餞別だったりで、社会通念上「わりと出しがちな額」だと思います。なので私は、「怪しいものでないかオープンにせよ」という基準として「5万円を超える額」は、わりと妥当な設定だと思っています。

 

それに比べると、企業が買えるにも関わらず、20万円まで公開不要、やりようによってはもっと高額でも公開を免れる、という今の制度はあまりに不透明だと思うほかありません。

 

だから裏金も作りやすいわけです。

 

外国人の買えるパーティー券

少し余談になりますが、個人献金でも外国人からのものは禁止されています。

「外国人によって日本の政治が捻じ曲げられないように」という主旨です。

 

民主党政権下で当時の前原外務大臣が、在日外国人から年5万円の寄附をもらっていたことが明らかになり、辞任に追い込まれました。

違法は違法なのですが、正直なところ、5万円程度で政治が捻じ曲げられるとは思えませんし、まして相手は「昔からお世話になっている地元の焼き肉屋のおばちゃん」だったようで、(この件に関しては)私はなんとなく気の毒に思いました。

 

それに比べると、政治資金パーティーのなんと甘いことでしょう。

 

外国人個人、さらには外国人が代表を務める企業の購入も可能です。

非公開で20万、公開すれば150万円まで。先に述べた通り、子会社等を使って分散すれば、さらに高額の購入が(法律上は)可能です。

 

政治を捻じ曲げうるのは、果たしてどちらでしょうか。

いや、外国人かどうかに限らず、利益を追求する企業からそのように大量にパーティー券を買ってもらったならば、自ずと政治が捻じ曲げられているのではないかという疑念が湧いてきます。

 

政治資金パーティーはどうすればいいか

政治資金パーティーそのものはOK。

企業・団体によるパーティー券の購入はNG、個人と政治団体に限る(寄附と同じ扱い)

一人でパーティー券の購入が5万円を超えたら公開(寄附と同じ扱い)

 

私の個人的見解は、そんなところです。

 

企業団体による購入については、多くの国会議員が維持したいはずで、国会でもかなり厳しい攻防になるでしょうね。

折衷案としては、企業団体の購入は「1円から公開」ではないでしょうか。さらには「お付き合いの範囲」と言える程度の上限金額の設定です。

 

企業や団体による寄附が禁止されているのは、その力で政治が捻じ曲げられるのを防ぐためです。パーティー券の購入をもし認めるならば、少なくとも「そうなっていないかの検証を可能にする」という必要があると思います。

 

政治資金パーティーの全面禁止は慎重に

前述した通り、私は政治資金パーティーそのものを悪だとは思っていません。

 

企業団体の購入の扱いと公開基準について見直せば、政治資金パーティー自体はアリだと思っています。むしろ、なくさない方がいいんじゃないという気もします。

 

政治資金パーティーの全面禁止は、政治家の集金手段のかなり厳しい制約となります。

私は身を切る改革には否定的で、ブログにも書いたことが何度もあります。これもそれと同じような理屈です。政治家の活動にまわるお金が減れば減るほど、「もともとお金持ちの人」が相対的に有利になります。

また、政党交付金の恩恵を受けられる政党所属の政治家が、無所属の政治家よりも圧倒的に有利になります。

 

それに市民から見ても、政治参加の手段が減ることにもなります。

 

もちろん、私のように「経費だけを会費にしたパーティー」にし、「個人献金」を別々に集めれば同じことかもしれませんが、パーティー等のイベントだからこそ、人は財布の紐が緩くなり、資金援助をしてもらいやすくなるというのは、紛れもない事実だと思います。

 

何はともあれ、今回の裏金事件で政治改革が進むことは期待していますが、「政治」と「市民個人」を遠ざけてしまうような、行き過ぎた規制にならないことを願っています。

むしろ「政治活動は個人に支えられるもの」という政治風土が作られていく、そのきっかけになればと思っています。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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