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日高少年自然の家と異例の越年議会

‏今週21日火曜日で、令和3年最後の本会議が終了しました。通常であれば「最終本会議」と言うのですが、そう言わないのは、最終ではなくなったからです。

 

なんのこっちゃ?ですが、

 

通常、年4回の定例会のうち、11月議会(第4回定例会)は12月20日頃に終わります。それが「最終本会議」です。

 

しかし、この度の11月議会は会期延長となり、「最終本会議」が来月1月13日となったのです。

 

定例会の期間が越年するというのは、実に珍しいことのようです。

なぜそうなったのか???

 

それは永藤市長が出した「日高少年自然の家の廃止条例」が、紛糾したためです。

※同施設のホームページより

 

堺市が所有し運営する、この自然体験型教育宿泊施設は、現在年間5700万円の管理料がかかっており、永藤市長はその削減を考えたのです。

 

ところが、「廃止したあとどうするの?」の問いには、「売却、譲渡、解体して土地を返却(土地は借りている)」の3パターンを示したものの、売却、譲渡の見込みはなし。また、解体すれば10億円ほどかかるというのです。

財政負担軽減のために廃止するのに、何とも無計画ではありませんか。

 

このため、健康福祉委員会では「継続審査」の申し立てがあり、賛成多数で可決しました。

「継続審査」は、「この議会では結論を出さず、次の定例会に継続して議論しよう」とするものです。

 

しかししかし。

その「継続審査」の決定が、本会議で覆ったのです。

健康福祉委員会では過半数に満たない維新・公明(継続審査に反対)が、本会議では過半数を占めているからです。健康福祉委員会の委員長(採決に加わらない)が公明の議員さんなので、このようなねじれが起こったのですね。

委員会の決定が本会議で覆るのは実に珍しいことで、堺市議会初だとか。

 

継続審査で、「次の定例会で議論」するつもりだった議案が、「継続しない。この定例会中に結論を」となってしまったので、12月21日で終わるはずだった会期を延長するしかありません。

この定例会は1月13日が最終本会議となり、それまでの間に改めて健康福祉委員会が開かれ、日高少年自然の家の廃止について改めて議論が交わされることとなりました。

 

永藤市政の拙速、かつ説明不足の市民サービスカットと、それによる議会の混乱を象徴する会期延長でした。

 

個人的には、日高少年自然の家を訪れたことがなく、正直なところ、あれこれ言及するのは難しいです。ただ言えることは4つあります。(難しいと言いつつ、4つも言うんかいっ!と自分でツッコんでみる・汗)

 

1つは、このような社会教育施設にかかるお金を、「コスト」と捉えるか、「子どもへの投資」と捉えるかで、私は後者の立場です。きっと永藤市長は前者なのでしょう。

 

2つめは、自治体同士、持ちつ持たれつなのに、、、ということです。廃止の根拠に、「堺市民の利用率が全体の3割ほどに留まる」というようなことが挙げられました。過半数を占める「堺市民以外の利用者のために、堺市の税金を使う必要はない」ということです。一見、一理ある話ですが、一方で堺市の学校や団体も、大阪市や、松原市などの施設を利用しています。そういう状況でとっとと閉鎖してしまうのは、何とも了見が狭い話だと思います。

 

3つめは、残す方向の努力をしていないということです。堺市はこの施設の利用率を上げるための努力をしていません。「学校の利用が減っている」と言いますが、子ども会やボーイスカウトなど、施設を利用してくれそうな団体は、堺市内にいくらでもあります。そういった団体に何もセールスしていないと言うのです。そのような中で「利用率が低いから廃止」とは、実に安直な判断だと思います。

 

4つめは、人の気持ちを汲まない判断だということです。同施設は海を満喫できる、いわば「夏の施設」です。この廃止方針がオモテに出たのが、8月16日の市長記者会見です。もう夏も終わろうかという頃です。そして、「3月いっぱいで廃止」という議案が11月に提出されたのです。

ここに思い出のある市民はたくさんいます。「来年の夏は(も)行こう!」なんて家族の会話もあったかもしれませんし、「廃止だったら、最後にもう1回行きたい!」なんて人もいるでしょう。施設を運営する人たちも「夏のサヨナライベント」くらいやりたいでしょう。私なら、廃止するにしても、せめて「もうひと夏」を終えてからにしますね。

ちょっとセンチメンタルな話ですけど、特に教育や、福祉においては、その「気持ち」が大事であって、そういうことを気にもせず、ただ数字だけを追いかけてドライに仕事をする職員ばかりになると、どんどん血の通わないまちになっていく気がします。大袈裟かもしれませんが、最近の堺市にはそれを感じます。

結局のところ、行政の最終ゴールは、市民の幸福感や、市民満足度といった「感情」なのです。

日高少年自然の家は、残念ながら廃止となるでしょう。(結論は1月13日に出ます)

ただ、指摘した4つの点、特に最後の「市民の気持ち」という点について、同じようなことがまた続かないように、議会でしっかり指摘せねばと思っています。

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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