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議員の処遇③~年金に対する私の考え~

かつて、「特権的な」地方議員年金制度がありました。厚生年金、共済年金などと比べて、掛け率がよかったり、(当時は)受給資格期間が短かったり、他の年金と並行して掛けられたりしました。

この「特権的な」地方議員年金制度は、2011年にすでに廃止され、現在は、地方議員は国民年金です。私は、かつてあった特権的な年金制度の復活には、大反対です。

 

一方で、いま創設が検討されている地方議員年金制度は、厚生年金への加入であって、決して「特権的なもの」ではありません。(よって、報道にありがちな「地方議員年金復活」の「復活」という表現は間違いです。)

 

私は、現在創設が検討されている、厚生年金への加入には、賛成です。

 

 

 

理由は…、

 

 

サラリーマンから、政治の世界との敷居を低くする。

 

 

そして、

 

 

政治の世界から、サラリーマンへの敷居を低くする。

 

 

ということです。

 

 

政治の世界への、入口も、出口も敷居を低くしたいのです。

 

 

優秀な人材を政治の世界にどんどん集め(入口の敷居を低くする)、かつ、「政治の常識は世間の非常識」とも言えるこの世界に滞留させ過ぎず、戻れる方にはどんどん元の世界に戻ってもらって(出口の敷居を低くする)、人材の流動性を高めるのです。そして、政治に、世間の新しい風が次々に吹き込めばいいと思っています。

 

 

 

私は、色んな人が政治に挑戦してほしいと思っています。

 

 

 

老いも若きも、男性も女性も、健常者も障害者も、サラリーマンも自営業者もフリーターも。

その中でも、特に労働人口の大半を占めるサラリーマンこそが、そして政治の最重要課題(と私が思う)である少子化対策・子育て支援の当事者である、子育て世代こそが、もっともっと政治に挑戦してほしいと思っています。

子育てをして、行政に疑問を持った優秀な人材が、会社を休職して、3期12年だけ議員をやり、新しい制度を作り、一仕事終えて、会社に戻り、またそこで活躍する。そんなことがもっとあってもいいと思っています。

 

 

しかし、現実はなかなかそうもいきません。

 

 

理由は色々あり、第一線で活躍するサラリーマンからすれば、議員はあまりにリスクが大きく、手元に残るお金が少ないこともあるでしょう。そして、サラリーマンと違って被用者年金がなく、将来に不安が残るということもあるはずです。

 

 

志もあり、非常に優秀で、サラリーマンとして社会の第一線で活躍していても、家族のいる身で、そうしたリスク、将来不安を考え、政治を諦めた若い人材を、私は何人も見てきました。

 

 

例えば、サラリーマンになって(厚生年金に加入して)8、9年、まさに脂の乗る時期です。受給資格を満たさないその時点で辞めて、国民年金のみの政治の世界に来たら、それまでの掛け金もパーになる可能性大です。

しかし、地方議員が厚生年金に加入できれば、それまでサラリーマン時代に掛けた分も引き継げるのです。

 

 

地方議員の厚生年金への加入は、サラリーマンから政治の世界への敷居を、必ず下げてくれるはずです。

 

 

「お金を心配して政治の世界を躊躇するなら、初めからそんな人材はいらない」という人は、「サラリーマン社会で十分な報酬を得て(得られるだけの成果を上げて)」、そして「子育てもしている」、そんな人の身になって想像してみてください。

 

 

私自身は、第一子が生まれたその月に、会社を辞めて、世帯年収を大きく減らしながらも、この世界に飛び込みました。家族が了承してくれた私はラッキーでしたし、そうした状況で家族の了承を得られず、この世界を諦める人のことも、十分に理解できます。

 

 

そしてもう一つが、政治の世界からサラリーマンへの、つまり出口の敷居を低くすることです。

 

私たちはよく自営業と比較されます。「自営業も国民年金なんだから」という声もあり、それはそれでよくわかります。私も零細自営業の家庭で育ちました。

しかし、決定的に違うのは、一般的に「頑張れば頑張るほど収入が増える」のが自営業で、その逆に「減る」のが議員ということです(ブログ「議員の処遇① ~前提としての現実~」参照)。

そして、もう一つは「長く続いた方がいいかどうか」です。

 

 

自営業をして、顧客に愛され、事業が長く続くのは、誰が考えても「いいこと」です。(その事業主個人が働き続けるかどうかは別として)

一方で、いくら議員が有権者に選ばれたとしても、あまりに長期間議員であり続けるのは、必ずしもいいことだとは限りません。

もちろん、何十年と議員をされて、大活躍されているベテラン議員さんもいらっしゃいます。しかし、辞め時を失い、漫然と議員を続け、たいした活動もできず、しかし後援組織が盤石で、選挙は通る(通ってしまう)、なんて方が、全国の地方議会の場には少なからずいらっしゃるように感じます。有権者が選んでいるのだから、一概に否定はできませんが、政治の世界が「長くやればやるほどいいわけではない」のは確かです。(余談ですが、公明党さんが定年制度を設けているのは、素晴らしいことだと思います)

 

この辺りは、「辞めた後の保障がない(国民年金のみ)」ということも影響していると思います。せめて厚生年金があれば、もっと辞めやすくなるはずです。繰り返しますが、素晴らしいベテラン議員さんはたくさんいます。しかし、活力を失い、漫然と議員を続けている方も現実としてはいるはずですし、厚生年金制度は、そうした方の背中をそっと押すことができると思います。

また、それは高齢議員だけでなく、若手にとっても、「サラリーマン ⇒ 議員 ⇒ サラリーマン」と一気通貫で掛け続けられる厚生年金は、出口の敷居を低くするはずです。

 

 

世間の在り方を決める政治の世界です。世間の新しい風が、次々と吹き込むように、優秀な人材が集まるように、人材の流動性をもっともっと高めなければなりません。

 

一番大事なのは「有権者の厳しいチェックの目」ですが、仕組みとしては、この「議員の厚生年金の加入」や、「立候補休職制度」などが有効だと思います。

 

 

唯一、厚生年金の加入に反対する理由があるとすれば、それは「行政コストが増えること」です。

 

個人的には、それで優秀な人材が集まれば、最終的には十分にペイできる、いわば民主主義の経費だと思っています。しかし、それがなかなか許されない社会情勢であることも理解しています。

ですから、これで増える行政コストの分を、全議員の報酬削減でカバーするのはアリだと思います。これなら行政コストの増加はなくなり、反対する理由はないはずです。

 

 

議員の厚生年金加入制度を作った時に、その恩恵を受けるのは、主に「専業議員」です。

会社や組織に所属するお抱えの「兼業議員」、「片手間議員」は、すでに厚生年金に加入しているので、対象となりません。また、厚生年金は70才までですから、それ以上の方も対象外です。私の提案だと、こうした方は「議員の厚生年金加入」の恩恵を受けず、報酬の純減になります。要は、後ろ盾がなく、議員活動に専念する議員が今よりもある程度守られ、かつ若い優秀な人材の挑戦を促す制度となり、その制度の負担を「兼業議員」や「高齢議員」も含めた「全体でカバー」する。

 

それでいいんじゃないでしょうか?

 

 

 

 

堺市議会議員 ふちがみ猛志

意見・提案