ワクチン予約の大混乱と堺市の失敗
堺市で4月26日から75歳以上の方、5月1日から65歳以上の方のワクチン接種の予約が始まりました。
しかし、、
「予約の電話が繋がらない!ネットも繋がらない!」
とたくさんの方から、苦情を頂戴しています。
大なり小なり、多くの自治体で混乱が見られるようですが、色々情報を集める限り、堺市のそれは他より酷いように思えます。
例えば、4月末時点の75歳以上の方の予約完了率が、同じ政令市の神戸市は40%以上、堺市はわずかに6.5%です。
国からのワクチン供給量(人口あたり)に大差はないのに、なぜこのような差が出てしまったのでしょうか。
ワクチン担当部署は多忙を極めており、議員からの個別の問い合わせは、できる限り控えるようにとの申し合わせがあり、正直なところ、私どもでも詳細な情報はもらえていません(取ろうとしていません)。ですから、あくまでもメディアの報道や、市の公式発表をもとにして、私なりに思っていることを書かせてもらいます。
私が思う原因は2つです。
1つは、予約の枠をちびちび出していること。
2つ目は、にもかかわらず、予約対象者を絞り込んでいないことです。
堺市のこれまでの予約受付数は、以下の通りです。
4月26日予約開始 5月1日~9日接種分…9000件
5月1日予約開始 5月10日~23日接種分…7350件
10日以降の方が、1日あたりの予約受付件数が半減していますが、このあたりの事情は未確認です。(医療従事者のためか、2回目の接種のためか、個別接種会場にワクチンをまわすためか、、そのあたりかと思います)
これらに対する申し込み対象者は、
9000件に対し、約12万人(75歳以上の人口)。
7350件に対し、約23万人(65歳以上の人口から、9000人をマイナス)。
となります。
そりゃあ、パンクしますよね。
予約できないですよね。
私が不思議に思ったのは、なぜ先々まで予約をさせないのだろう?ということです。
永藤市長は、5月10、17日の週で12万回分確保していると発表しています。
これを集団接種会場と、個別接種会場にどのように振り分けるのか、またそれ以降の供給スケジュールについては不確定のようですが、、
せめてこのうち3万回分でも集団接種会場用にキープすれば、これまでの9000回分、7350回分と併せれば、4.6万回分です。
集団接種会場の5、6月分として確保して予約可能とすれば、神戸市のように、75歳以上の予約完了率が40%ほどになったはずです。たとえ、ずいぶん先であったとしても、予約さえできれば、ご高齢の方もずいぶんと安心できます。
もし、そのようなことができない理由があったのならば、やはりもっと予約の対象者を絞り込むべきだったのだろうと思います。
仮に「80歳以上」にしていれば7.3万人、「85歳以上」にしていれば3.5万人です。
永藤市長は記者会見で、「絞り込んでも万単位だから、回線が混雑したのは同じ」という見解を示しました。果たしてそうでしょうか?
予約スタート時点ではそうかもしれませんが、さすがに「85歳以上」くらいに絞っていたら、その日の午後にはかなり通じやすくなっていたと思いますし、希望する方の大半が予約できていたんじゃないでしょうか。なんなら、「90歳以上(1.3万人)」にしたってよかったんです。
スタート時点で繋がりにくくとも、結果的に予約が取れたならば、一定の安心感が得られますし、これほど不満が爆発しなかったと思います。
市長は「一人でも多くの命を救いたい思いで」と述べましたが、ワクチン接種数量は変わらないわけですから、ならばこそ、よりリスクの高い人から優先的に接種できるようにすべきだったと思います。
堺市が取った手法は、予約競争を激化させた上、よりリスクの高い層で「予約の取れない人」を増やしてしまったわけで、「一人でも多くの命を救いたい」に逆行するものでした。
大勢の人で少ない枠を争えば、混乱する。普通に考えればわかることですよね。
何ごとも初めての経験で混乱は仕方ないかもしれませんが、いくら何でも、堺市のやり方は想像力に乏しすぎる、お粗末なものでした。
今さら、5月の高齢者の接種に関してはどうにもなりませんが、せめて7月頃にあると思われる、64歳以下の市民の接種においては、この経験を活かしてもらいたいものです。
年齢、職業、疾患、同居家族の構成、、、リスクに応じた絞り方はいくらでもありますから。
堺市議会議員ふちがみ猛志