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薬物依存症対策がさらに一歩前進

こんにちは。堺市議会議員のふちがみ猛志です。

 

本日、お盆明けから始まった決算議会が終了しました。長かった!

 

さて、その間に私が取り上げた質疑について、これから印象的なものをピックアップして、随時ブログにしていきたいと思います。

 

一つ目は、私が議員としてだけでなく、保護司としても関係のある、薬物依存症対策です。

 

刑務所まで出向く堺市

これまで、堺市で依存症の相談窓口となる「こころの健康センター」は、基本的に「待ち」の姿勢でした。相談が必要な依存症患者が、このまちのどこにいるかわかりませんからね。

 

いや、一部はわかるんです。

 

薬物依存症患者は刑務所の中にいる。

だから、刑務所の中に相談員が出向こう!

※堺市に所在する大阪刑務所

 

私がそう提案して始まった、堺市の取り組みについては、これまでブログにも書きました。

※過去ブログ「提案が実現した薬物依存症対策」

https://fuchigami.info/%e6%8f%90%e6%a1%88%e3%81%8c%e5%ae%9f%e7%8f%be%e3%81%97%e3%81%9f%e8%96%ac%e7%89%a9%e4%be%9d%e5%ad%98%e7%97%87%e5%af%be%e7%ad%96/

 

 

ブログ内では「1人が支援につながった」と書きましたが、このほどの議会で改めて確認すると、もう1人増えて2人になったそうです!

 

当局は「数は多くないが」と謙虚に語りましたが、私はとても大きいことだと思っています。1人の依存症患者は、家族や職場も含め、多くの方を巻き込みます。新たな被害者を生むこともあります。薬物依存症は反社会的勢力の資金供給源にもなります。1人の依存症患者を救うことは、多くの人たちの未来を救うことになるのです。

 

なので、私は堺市当局の立派な成果だと思っていますし、このような取り組みが刑務所所在の他の自治体に広がることも願っています。

 

保護司として感じた限界

さて、このような薬物依存症対策について、私が取り組むきっかけは保護司として薬物依存症の対象者を受け持ったからです。そして、保護司としての限界を感じたからです。

 

保護司は彼らの更生に少なからぬ影響のある立場ですが、「薬物」や「依存症」に対して必ずしも専門的な知見があるわけではありません。少なくとも私にはありません。薬物依存症は実に根が深く、こころの健康センターや、自助団体など、専門的な支援が絶対的に必要なのです。

しかし、依存症患者の方が、自らそこに足を運ぶというのはなかなか難しいことです。そもそも見知らぬ人に会うこと、相談すること自体が苦手な方が少なくありません。

 

なので、「刑務所へのアウトリーチ」だったのです。

 

ただ、それも十分ではありません。

執行猶予で刑務所に入らない方もいます。

いくら刑務所でコンタクトしても、出所すれば「ホッと一安心」で相談窓口に行くことが面倒になる方もいます。

自らを依存症だと認められない方、依存症だとわかりつつ治す気のない方もいます。

 

こうした方へアプローチする術はないものでしょうか。

 

新たな取り組みが始まる                      

そこでこの度議会で取り上げたのが、「保護観察対象者の特別遵守事項に『こころの健康センターの相談窓口への訪問』や『自助団体への参加』を加える」というものです。

 

保護観察対象者が守らなければならない特別遵守事項にすることで、ある意味、一定の強制力を持って、相談窓口など専門性のある支援機関につなげてしまうのです。

 

兼ねてからこのようなことができないものかと思っていた私ですが、昨年12月の更生保護法の改正で、遵守事項に「専門的な援助を受けること」が加えられるようになりました。そしてこのほど、法務省はこの「専門的な援助」をする機関・団体として「こころの健康センター(精神保健福祉センター)」や「自助団体」が含まれる旨の見解を示しました。

そしてその法務省見解を持って、私は質疑に臨んだのでした。

受け入れる側となる、堺市こころの健康センターとして、この新たな取り組みにどう対処するのかと。

 

取り組みの課題と期待

堺市当局は質疑の中で、「自らの意思によらない相談者を、継続的な支援に繋げる難しさ」を課題として挙げました。嫌々通い続けても、効果が出るとは思えません。義務的に来た人を、その後に自ら進んで来るように諭していかなければならない・・、それは決して簡単なことではないでしょう。

 

しかし、そのような方がわずか1人でも2人でも出てくれば、私は素晴らしいことだと思うし、全国に先駆けてこの課題に取り組んできた堺市のこころの健康センターなら、きっとうまくやってくれるだろうと期待しています。

 

当局は私の質疑に対し、取り組みの必要性・有効性を認めつつ、「受け入れる体制は整っている」と力強い答弁をしてくれました。

この件に関わってきた議員として、とても心強く、誇らしく感じました。

 

きっかけはSNSと国会議員

ここでブログを終えると、私の手柄にしているようで罪悪感があるので、実情も記しておきます。

 

この件で法務省に掛け合い、「専門的な援助」に「こころの健康センターや自助団体が含まれる」との見解を取ってくれたのが、公明党の山本かなえ参議院議員でした。

また、先に示した資料も、「周知のために」と彼女が法務省に作成するよう求めてできあがったものです。

 

この7月末に私が「こんなことができたら・・」とSNSに書き込んだところ、山本議員がそれを見て、きっと「必要な取り組みだ」と思ってくださったのだと思います。決して私が要望したわけでもないのに、自ら動き、法務省に掛け合ってくださったのです。

 

そして「できますよ!」と連絡をくださいました。

 

この動きがなくとも昨年末時点で法改正自体はなされていたわけですが、そこには「専門的な援助」という抽象的な言葉しかなく、そのままでは現場レベルでの具体的な動きにはならなかったように思います(現に、堺市こころの健康センターには法務省から情報が下りていませんでした)

 

この抽象的な言葉が、「精神保健福祉センター(こころの健康センター)」「自助団体」という具体的なものになることで、ハッキリと彼らが当事者となり、受け入れ体制が整えられていくのです。そして、裁判所や保護観察所が実際に「こころの健康センターに行きなさい」と遵守事項に書き込めるようになるのです。

 

「仏作って魂入れず」という言葉がありますが、まさにこの法務省見解が、この度の法改正に魂を吹き込んでくれたのだと思います。法務省に掛け合ってくれた山本議員さんに感謝するばかりです。

また、このような素晴らしい動きについては、党派に関係なく、そして国政と地方の違いはあれど、同じ議員として、見習いたいものだとつくづく感じたのでした。

 

引き続きこの件は、議員として、保護司として関わっていきます。

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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