改めて市民ニーズを問う
こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。
12月の議会も終わり、議会活動報告の作成、そして今はその発送作業でバタバタしています。今日も大勢のボランティアさんが事務所でお手伝いしてくださっています。
私がこれまで議会で強く求めてきたことの一つに、「市民ニーズを、何か始める時の出発点にせよ」というものがあります。
何やら行政として当たり前のことのようですが、それが当たり前にできていない。むしろ、後まわしになってやいないかと、幾度となく指摘してきました。
どうもそれが、永藤市政の根本的な課題のように感じています。
今回の議会でもその指摘をせざるを得ないシーンがありました。

金岡公園プールの事例
堺市北区にある金岡公園プールが、令和5年(2023年)夏の営業を持って、老朽化を理由に閉鎖されました。

※閉鎖された金岡公園プール
老朽化で施設の段階的閉鎖が始まったのが平成16年(2004年)ですから、本来であれば前もって再整備計画を作っておくべきだったのですが・・、そのことは本題ではありません。
閉鎖が決定してから、堺市は再整備計画の策定に着手したのですが、最初にやったことが「事業者ヒアリング」だったのです。
「新しいプールはウチの会社が作って、ウチの会社が運営もするから、その儲けはウチが!」なんて事業者が現れでもすれば、再整備における堺市の負担は小さくなります。また、ひょっとすると行政が計画するよりも、魅力的な計画が提案されるかもしれません。
一方、市民からの意見募集は「その後」でした。
これって逆じゃない???
私の素朴な疑問です。
本来の行政のあるべき順序
「こんなプールにしてほしい!」「こんな公園があったらいいな!」という市民ニーズがまず先にあって、
行政としてその市民ニーズを実現するのに、行政の力だけでできるならそうすればいいし、その時に「民間事業者の知恵や力を借りた方がよりよくなる」「行政の力では実現できない」という時に、初めて「事業者ヒアリング」。
これがあるべき順序じゃないでしょうか。
民間事業者が関わってくれるということは、ビジネスとして成立することが大前提です(間接的なことも含めて)。
一方、ビジネスとして成立しないことでも、税金を使ってできるのが行政の強みです。
どの自治体も財政状況が厳しい中で、民間事業者の力を活用する事例が増えており、世の流れにもなっています。私もそれ自体を否定するつもりはありません。
ただ、その流れの中で、事業者の声ばかりが優先され、市民ニーズが疎かにされる事例が少なくないのです。
堺市駅前市有地活用の事例
JR堺市駅にそばに5000㎡超の市有地がありました。堺市斎場の駐車場として利用されていたものです。
駅前の一等地を平面にしておくのはもったいないと考えたのでしょう。堺市は、ここの活用案を民間事業者から募集します。
「市有地のよりよい活用」には異論ありませんし、その活用が『結果的に』民間事業者によるものだったとしてもいいでしょう。
ただ、この時に大事なのは「どんなものができてほしいのか」という市民ニーズです。
しかし、この時も堺市は市民からの声を募ることもなく、そこを活用する民間事業者を決めてしまいました。できあがった施設はスーパーでした。ところがここはスーパー激戦区。新しくできたスーパーは、徒歩圏で4軒目のスーパーとなったのです。

当局は、スーパー以外に「地域にない新しい機能がある」と主張しましたが、それは「サイクリストの休憩所」と「屋上広場」とのこと。
そのようなものを欲している市民を私は知りませんが、地元精通者のいない事業者選定委員会において、これらが「地域にない新しい機能」と認定され、当該事業者の提案が採用されたのでした。
スーパー自体は賑わっていますし、競争が激しくなって喜んでいらっしゃる方もいるでしょうが、それは結果論です。また、しっかり市民ニーズを把握した上で進めていたならば、もっと市民に求められる「地域にない新しい機能」がここにできていたのだろうと思います。
市民ニーズ後回しの数々の事例
このような事例は枚挙にいとまがありません。
永藤市長の肝いり事業とも言える「堺東~堺駅間の自動運転バス」もそうです。このことは、過去にブログに書きました。
堺消防署跡地の活用事業もそうです。これも市民ニーズを聞くこともなく、古い建屋を残すことを決めてしまいました。今、遅ればせながら市民が関わる形で「古い建屋の活用」について議論が進んでおり、それはそれで結構なことですし、担当職員の努力には敬意を表しますが、
もっと早くから市民ニーズを掴もうとしていれば、私は建屋を除却して新しい何かを作っていたかもしれません。

※堺消防署跡地での市民交流イベント
ザビエル公園にカフェ等の民間事業者を誘致しようとしたこともありました。
これもまた市民不在のまま進んでいたのですが、私が議会で指摘し、慌てて公園利用者からアンケートを取ると、「今のままがいい」「公園の広場は残してほしい」等の意見が相次ぎ、誘致計画は頓挫することになったのでした(私や市民の立場からすると「頓挫」というより「阻止!」)。
当たり前を当たり前に答弁させることの意味
今回の建設委員会で、金岡公園プールの件を取り上げ、「市民ニーズと事業者ニーズ、どっちが大事なのか?」と問いました。
建設局長は、ちょっとまわりくどいながらも「市民ニーズの方が大事」と答弁してくれました。
当たり前のことを聞いて、当たり前の答弁をしてもらったわけですが、その当たり前ができていないことが多いのは、先述の通りです。
建設局長のこの答弁は、議事録に記され、半永久的に堺市に残ります。
そして、少なくとも建設局においてこれに相反する動きがあった場合に、「おかしいじゃないか!」と指摘する武器となるのです。
議会での答弁にはそのような意味があります。
堺市において「市民ニーズが先!」が当たり前になるための一歩になればと思いますし、建設局がいつか市民ニーズに沿った素晴らしい事業をした時に、「あの答弁がきっかけ」だったと思えたら嬉しいですね。
堺市議会議員ふちがみ猛志

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