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事業者のシーズか市民のニーズか

こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

昨日、堺市議会決算審査特別委員会第一分科会(建設委員会所管事項)にて質疑を行い、永藤市長肝いりの自動運転バスの導入や、私も何度も取り上げてきた堺消防署の移転後の跡地活用事業などを取り上げました。

その質疑に共通したテーマが「シーズとニーズ」でした。

 

シーズとは?ニーズとは?

シーズ(Seeds)は「種」です。

企業が自分の持っている「種」、つまり独自の技術力やノウハウをベースに「こんな商品が作れる」という視点で商品開発を行うことを、「シーズ志向」と言います。「プロダクトアウト」という言い方をすることもあります。

 

一方、ニーズ(Needs)は「必要なもの」ですね。

顧客が必要だと思っていることをベースに商品開発をすることを、「ニーズ志向」と言います。こちらは「マーケットイン」とも言います。

                                                                                                                                

どちらが正しいわけでもなく、シーズ志向で成功した事例として、アップル社のアイフォンが有名です。スマートフォンという概念すらなかったような頃、顧客が「スマホがほしい」と求めたわけではありません。スティーブジョブスさんを始めとするアップル社の創意工夫・技術力によってできた製品だと言えるでしょう。

※Wikipediaより

 

ただ、それは企業の話。

 

行政は徹底的に「ニーズ志向」であるべきだと、私は思っています。

市民が何を欲しているか、いま何が足りないか。その声に徹底的に耳を傾け、行動するのが行政の役割だと思っています。

 

シーズから始まった自動運転バスの導入

堺市における自動運転バスの導入計画は、「自動運転という技術がある。だから取り入れたい。」という、いわば「シーズ志向」によるもので、市民のニーズを踏まえて始まったものでないのは明らかです。

※実証実験の様子(産経新聞ニュースより)

 

公共交通としてのバス交通は、赤字路線が多く、路線の廃止、減便が避けられない状況になっています。バス交通の最大の課題と言えるでしょう。「路線・便数を維持してほしい」というのが切実な市民ニーズです。

自動運転バスは、この市民ニーズにも適いうるものではありますが、もし当局そのニーズに沿って発案したのならば、堺市内で最も採算性のいい部類に入る堺東駅~堺駅間ではなく、郊外の赤字路線への導入を目指したはずです。

 

当局は「乗降時のバリアフリー化」を掲げ、自動運転バスのバス停への正着性を強調しています。これも確かに市民ニーズに適うものですが、もし本当にそこに立脚しているならば、正着しやすいバス停ばかりで、すべてノンステップバスで対応できているこの路線を選ばなかったはずです。正着しにくいバス停や、段差のあるバスが走る路線は、堺市内にいくらでもありますからね。

 

東西交通の改善も、堺市内の昔からの市民ニーズであり、そのための施策だと当局は主張しています。しかし、堺市中心部における東西交通の改善には、南海本線(堺駅)よりも西側、あるいは高野線(堺東駅)よりも東側への延伸が不可欠で、既存のシャトルバスの路線の置き換えでなしうるものではありません。

 

ニーズでもシーズでもない絵空事

永藤市長はこの自動運転バスの導入を始めとするSMIプロジェクトによって、

未来を見据えて挑戦する。

都市ブランドを確立する。

と息巻いていますが、これはハッキリ言って絵空事です。

こんな抽象的な答弁で、何十億も公金を投入する事業をOKできるはずがありません。

 

そもそも、自動運転バスはすでに全国的に導入が進んでいます。「未来を見据えた挑戦」などという大層なものではなく、現実的な施策です。

茨城県境町、常陸太田市、愛知県日進市、岐阜県岐阜市、、、、皆さんはこれらの名前を聞いて何か未来的な「都市ブランド」を感じますか?

いずれも自動運転バスの定常運行が始まっている、堺市よりも導入が先行している自治体です。(少なくとも私は、これらのまちに「自動運転バス」によるブランド効果は感じませんし、彼らもそれを期待してはいないと思います)

【実用化してすでに一年が経過している境町】

https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/434167/022100208/

 

後追いの立場で、市長はいったい何を言っているんだろう?と思います。

SMIプロジェクトが内包する自動運転バス以外の取り組みも、これと言って都市ブランドになるようなものは見当たりません。

 

たとえば「子育ての明石」、あれは都市ブランドと言っていいでしょう。

市民ニーズに徹底的に応えた結果です。

 

自動運転バスを導入するのだとしても、ありもしない空想の効果を追うのではなく、利用者・市民にとって何がよくなるのか、具体的な効果を見据えて取り組んでもらいたいものです。

 

自動運転バスそのものはアリ

私は、自動運転バスの導入そのものを否定しているわけではありません。むしろ、その必要性を前向きに捉えています。

 

深刻になっている運転士不足解消に繋がるものであり、路線の廃止や減便を防ぐ手段になりえます

なので、廃止、減便が危惧される郊外の赤字路線にこそ、導入を図るべきだと思っています。

※全国初の「無人運転」を実現した永平寺町はまさに過疎地の路線維持のためのもの

 

「都心の路線に自動運転を導入し、そこで浮いた運転士を郊外の路線にまわせば同じ」と思う人もいるでしょう。現に、当局の職員からそう言い返されたことがあります。

しかし、現時点での技術力では、自動運転は人間の運転士に比べて柔軟性に欠きます。周辺での事故や、駐車車両、車内でのトラブルなど、予期せぬ事態での臨機応変な対応が難しいのです。その点から、都心の過密ダイヤを維持するには不向きです。

過密ダイヤを遅れずにまわすこと。これは都心だからこその「ニーズ」です。

 

堺市も郊外に行けば、お客さんが数人で、時間帯によっては「空気を運ぶ状態」だが、廃止すると沿線の生活が成り立たなくなる…、というようなバス路線があります。

一方、大小路のシャトルバスのように大勢の乗客のいる路線もあります。

 

自動運転(AI)と人間の運転士さん、それぞれがどちらかを担わなければならないのならば…、

私は「働きがい」の観点からも、乗客の多い路線を運転士さんにお願いしたいですね。個人的意見ではありますが。

 

ニーズ志向を約束した消防署跡地活用

私が議会で以前から長く取り上げているものとして、堺消防署の移転後の跡地活用の問題があります。

 

来年度の予算案でも、跡地活用について民間事業者に意向を調査する予算が計上されました。実は民間事業者への意向調査はこれで2回目です。

 

民間事業者に対して、「どんな使い方があるか」「どうであれば使いたいか」等々を丁寧に確認しているわけですが、市民に「どんな使い方をしてほしいか」という意向調査はしていません

 

この進め方はまさに「ニーズ志向」ではなく、「シーズ志向」です。

 

そもそも堺市の市有地の活用方法を検討するわけですから、ハナから「民間事業者に委託する」ということを前提にしたかのような進め方自体が問題です。

 

まずは市民ニーズがある。

そのニーズに応えるためには、こんな機能が必要で、その機能を満たすには民間の力が必要。だから、民間に意向調査しよう・・。というのなら理解できるんですが。

 

なぜ市民ニーズよりも、民間の意向調査が先立って行われるのか、摩訶不思議です。

 

私はそのことを厳しく追及した上で、「市民ニーズを踏まえて、活用方針を決定する」旨の言質を取りました。この事業が「ニーズ志向」に切り替わるきっかけになればと思います。

 

参考】私の跡地活用に関する考えはこちら。もちろん市民ニーズに沿ったものです↓↓↓

https://fuchigami.info/%e5%a0%ba%e5%8c%ba%e3%81%ae%e3%81%a9%e7%9c%9f%e3%82%93%e4%b8%ad%e3%81%ab%e5%9b%b3%e6%9b%b8%e9%a4%a8%e3%82%92/

 

ニーズ志向の市政に

自動運転バスにしろ、消防署の跡地活用にしろ、一度そのものを作ってしまえば(導入してしまえば)おおよそ数十年は使い続けることになるでしょう。

 

市民ニーズを捉え損ねたものを作っても、負の遺産となるだけです。

 

永藤市政になってよくなったこと、悪くなったことの双方がありますが、私が最も不満に思っていることは、市民との対話が減ったことです(何も「市長が祭りによく顔を出すか否か」という次元の話ではありません)。市民の代弁者たる議会の声も、ずいぶん軽視されているかのような姿勢が見受けられます。

これは、市長個人だけではなく、組織全体に感じることです。

 

言うまでもなく、対話なくして市民ニーズの把握はできません

 

改めて、誰のための市政か、それを問いただし、自動運転バス、消防署の跡地活用に限らず、あらゆる施策に「市民ニーズ」という息吹を吹き込みたいと思っています。

私自身が「市民ニーズ」を代弁する立場でもありますから。

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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