コミュニティはどこに? ~ジョルノビルの校区~
堺東の市役所前にある、ジョルノビルが建て替わり、商業施設と、マンション300戸ほどを含む、複合ビル(以下、地元の方にわかりやすく「ジョルノビル」と称します)へと生まれ変わります。
堺東の活性化にも寄与する事業として、私も期待しているところです。
さて、このジョルノビルのマンションですが、現在は榎校区の端、熊野校区に隣接する場所に位置しています。
私は、そのジョルノビル(マンション)を、現在の榎校区から熊野校区へと、校区を変更すべきではないかと考えており、そのことを今月8日の予算審査特別委員会で取り上げました。
多少の反響もありましたので、誤解を与えぬよう、また反対意見も承知の上で、改めてブログに纏めたいと思います。
変更すべきと考える理由は大きく3点です。
①一つは、教育環境です。
榎小学校は堺市屈指の過密校であり、一方の熊野小学校はかなりゆとりのある小規模校です。
榎小学校はジョルノビルと、もう一つの大規模マンションの影響で、さらに過密が進む見通しです。
ジョルノビルを熊野小校区に変更すれば、榎小の過密は一定程度改善し、また、ジョルノビルの子どもたちもゆとりのある環境で教育を受けられます。
また、熊野小校区を含む殿馬場中学校は、5年後には教育委員会が「中学校の教育環境として適正でない」と考える、1学年2クラスになりますが、ジョルノビルの校区変更で、これを回避することもできます。
②二つ目は、通学環境です。
ジョルノビルから榎小学校に行くには、踏切を渡り、(物理的に)歩車分離されていない道、それも交通量の多い地域の抜け道を通っていくことになります。
一方で熊野小学校には、完成見込みのデッキも含め、歩車分離された広い歩道で行くことができ、危険な個所はおおよそ見当たりません。
これは、誰がどう見ても、熊野小に向かう通学路の方が安全です。
③三つ目は、行政上のリスク回避です。
榎小はこのままいけば、6年後には通常学級が30クラスになる見込みです。
これが31クラスになれば、過大規模校として、分割を検討する対象となります。
一方で熊野小学校は12クラスです。あの1クラスでも減れば、小規模校として再編を検討する対象です。
小学校の分割も、統合再編も、多大なるコストと、様々な労力を要します。行政にも、地域にもです。
榎小から熊野小への、ジョルノビル(一定の児童数のあるマンション)の校区変更は、そのリスクを回避することにも繋がります。
ところが、すでに榎小では、ジョルノビルの増加も見込み、校舎を増設しており、それが「無駄になる」との反論があります。
6年後に、支援学級を含め、現在の29クラスから36クラスとなる見込みに対して、校舎を増設して37教室を確保する予定です。
しかしこの36クラスという推計が、不確かなものなので、当然増減することも考えられます。
この推計によれば、各学年の中には、1クラスあたりあと1~2人の増加で、さらにクラスが増える学年が2つあります。
さらには、そもそも榎小の児童は、このマンションがなくとも増加傾向にあります。
わずかな増減や見込み違いで、あるいは将来的に「増設した37教室ですら足りない」という事態が、十分にあり得るのです。
ジョルノビルを熊野小校区に移せば、6年後のクラス数は33となる見込みです。
「4教室も余るじゃないか」との意見もありますが、学童保育の専用教室にすればよいのです。
現在でも220人ほどがいる大規模学童なのに、専用教室はわずかに2つで、図書室に加え、学校敷地外の地域会館まで間借りしている状態です。
本来であれば、専用教室の確保が望ましく(現時点でも4教室あるべき)、まだまだ増えるであろう学童保育の状況を考えれば、専用教室が7教室は必要ではないかと思います(現在からプラス5)。
学童保育のスペース確保はもはや限界ですから(敷地内では無理だから、地域会館を借りている)、このままでは大量の待機児童を出すのか、それとも運動場をさらに狭くし、多額の予算も投じて、専用棟をさらに作るのかの二択を迫られます。ジョルノビルの校区変更で、増設した校舎の教室を余らせて、学童保育にまわせば、この問題は一気に解決するのです。
こうした私の主張に対して、教育委員会は「コミュニティの分断に繋がりかねない」と否定的でした。
しかし、どうなんでしょうか?
現在工事中のジョルノビル、誰も住んでいない工事現場にどのようなコミュニティが存在し、そのジョルノビルの校区を移すことで、どのコミュニティが分断されるのでしょうか?
むしろ、これからマンションが建設され、人が住み、コミュニティが形成されてしまってから、「やっぱり榎は過密だ」となっても、その時こそ、「変更はコミュニティの分断」になりかねないわけです。
コミュニティが形成されていない今ならばできるのです。
おそらく、榎校区の方には、校区の住人が増えることは、校区自治会の会員・会費の増額にも繋がることへの、一定の期待もあると思います。
また、住人はいなくとも、これまでそこで商売をされ、今後もされる予定の方もいらっしゃり、その思いも無視はできません。
しかし、そうした思いも尊重されて然るべきですが、校区の編成において、より優先されるべきなのは、大人ではなく、子どもの利益だと、私は思うのです。
榎小の過密は相当なものです。
たとえば運動場の面積は、堺市で小さい方から3番目です。そこに大勢の児童がひしめき、児童一人あたりの面積は、現時点で4㎡未満です。
これは、熊野小学校(一人あたり約16㎡)の実に1/4ほどです。
それが、ジョルノビルをそのままにすると、6年後には、3㎡を切る見込みなのです。
保育所では、2歳児ですら、3.3㎡の園庭が必要です。でなければ、認可されないのです。
なのに、6年生までいる小学校で、3㎡未満となる状況を、看過していいのでしょうか。
これで事故でも起きた時、教育委員会は是正する手段を講じなかった、その不作為の責任を取れるのでしょうか?
もちろん、ジョルノビルを移したところで、それが劇的に改善するわけではありません。
しかし、やれることはやる。
今できることはやる。
先に述べた3つの理由、特に子どもたちにとって大事な教育環境、通学環境が少しでも改善に向かうならば、私はぜひやるべきだと思っています。
堺市議会議員ふちがみ猛志