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不正のトライアングルと維新の不祥事

またも維新の市議会議員のカネの不祥事がありました

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20220615/2000062323.html

76万円分の納品書を自作するという、非常に悪質なものです。購入していないものならば論外ですが、、購入したものの金額を修正して、政務活動費を充当し、差額を不正に取得したのではないかと、そんな想像もしてしまいます。実にセコい話です。

 

不祥事そのものは、どこの党にも大なり小なりあるのですが、地方議会においては、維新の会が突出して多いように感じます。Twitter上ではこのような不祥事一覧まで作られていますが、いやはや凄い数ですね。(作者がどなたか特定できませんでしたが、このようにまとめられたことに敬意を表します)

予め断っておきますが、言うまでもなく、維新の会でも不祥事とは無縁で、普通に仕事をなさっている方がたくさんいます。むしろそちらが多数派でしょう。ただ、明らかに「他党よりも不祥事の割合が高い」と言えるこの状況について、今日は書かせてもらおうと思います。

 

さて、不祥事の中でも目を引くのが、冒頭にも申した「カネの不祥事」です。

 

堺市議会でも、過去1000万円を超える政務活動費の不正支出事件により、3人の議員が辞職に至っていますが、いずれも維新の議員でした。

なぜ、維新の議員にこのようなカネの不祥事が多いのでしょうか。

 

私は、その原因の一つが「身を切る改革」ではないかと思えてなりません。

 

1つ目は、純粋にお金に困っている議員がいるんじゃないかということです。

彼らは「身を切る改革」として、報酬のうちの1割なり、2割なりを被災地等に寄付しています。寄付と言うと聞こえがいいのですが、組織的に一律でやっているようですし、する・しないが公認にも影響すると聞きます。議員個人から見れば「自主的」と言うより、もはや「強制的」ですよね。(私にはそうとしか思えないのですが・・。)

「議員報酬は多いんだから、1割や2割減ったところで」と思う人も多いでしょう。報酬全額を生活費につぎ込めたならそうかもしれませんが、政治活動には相当なお金がかかります。私の場合、あれこれ合わせれば、年間300万円くらいはかかっています。一所懸命活動すれば、そういうものです。加えて言えば、生活にかかるお金も、家庭環境によって人それぞれですよね。なのにそれを一律で〇割という具合に拠出させるわけですから、中にはお金に困る人が出ないとも限りません(そりゃ、拠出させない時よりは、お金に困る可能性は高くなりますよね)。それが『不正の動機』になってやしないか。私はそう思うのです。

 

2つ目は、「これだけのことをやってるんだから、これくらいいいじゃないか」という意識の議員がいるんじゃないかということです。

「身を切る改革は自分たちだけ!それ以外の議員は保身!既得権益者!」という類の発信を、彼らはよくします。勧善懲悪、自分たちは正義の味方、あいつらは悪。そんな錯覚をしている議員も、ひょっとしたらいることでしょう(でないと、あんな発信は…汗)

そもそも、彼らの言う「身を切る改革」って、被災地への寄付とかですよね。それを「身を切る改革」と言うなら、維新以外にも大なり小なり実行している議員はいると思います。この際ですから初めて書きますが、私もささやかながら、自分の生活費や小遣いのうちから、できる範囲でユニセフ、UNHCR、国境なき医師団の3つのマンスリーサポートをやっています。議員にならせてもらってからずっとです。でもそれはあくまでも「自主的、個人的」なことで、誰かに強制されたものではありません。だからこそ、他人がやっていなくても、私は何とも思いません。

でも強制的にやらされると、「なぜあいつらはしない」(←いやいや、PRしないだけでやる人はやってますって)、「自分たちだけがえらい」というゆがんだ意識に繋がり、「これくらいいいじゃないか」と、自分の中で『不正の正当化』の理由にしてしまうこともあるんじゃないでしょうか。

 

3つ目は、「身を切る改革」という表面的な打ち出しだけで当選してしまい、有権者・支援者との密な関係が構築できていない議員がいるんじゃないかということです。

一般的には、選挙、それも地方選挙で当選するには、濃い人間関係をたくさん構築していかねばなりません。そうした支援者との関係は、選挙においては集票に役立つわけですが、平時においては、自身の活動を律する監視の目ともなるわけです。私なんぞでも、日々色んな方が事務所に出入りしてくれますし、たくさんのボランティアに活動を支えられていますから、サボりたくてもサボれないわけです。不正をしようものなら、すぐに身内にバレてしまうと思います。

一方、ある維新の議員さんは、「自分になぜこんなに票が入ったのか、誰が入れてくれているのかわからない」とおっしゃっていました。落下傘候補でもすぐに上位当選します。党の人気があり過ぎること、中でも「身を切る改革」の看板としての集票力があり過ぎることが、「有権者・支援者との密な関係が構築できずとも当選してしまう」という現象を生み、少なからぬ議員に「身近なところに監視の目がない状況」を与え、それが不正を可能にしてしまう環境、つまり『不正の機会』を作ってしまっているのではないでしょうか。

 

以上挙げさせてもらった『不正の動機』、『不正の正当化』、『不正の機会』は、米国の犯罪学者ドナルド・R・クレッシーが提唱した『不正のトライアングル』と呼ばれるもので、この3つが揃った時に、不正は起こるのだとしています。

繰り返しになりますが、

 

『不正の動機』とは、不正行為の実行を欲する主観的な事情です。「お金がない」などです。

 

『不正の正当化』とは、不正行為を積極的に是認する主観的な事情です。「俺だけが不遇だ」といった意識などです。

 

『不正の機会』とは、不正行為の実行を可能・容易にする客観的な環境です。「誰にもバレない」という環境などです。

 

私も最近これを学んだんですが…、見てすぐに「維新に多いカネの不祥事」と「身を切る改革」が頭をよぎりました。

 

何度でも言いますが、維新の議員さんすべてに共通するものでは決してありません。むしろ、ごく一部かもしれません。潤沢にお金のある人もいますし、素直に彼らなりの改革を実行している人もいますし、強固な支援者との関係を構築している人もいます。ただ、ごく一部であっても、「身を切る改革」が不正のトライアングルに繋がることがある、ありうる。私はそう思っています。

まあ、最後の1つは、議員側ではなく、有権者側の問題です。このような党の方針を評価するのも結構ですが、やはり一人ひとりの議員と、それも日常の活動にしっかり目を向けてほしいと思っています。

 

「いい加減なことを言うな!」とお感じになる方もいると思いますが・・・、

だったら、なぜ維新の議員にカネの不祥事が多いんでしょうかね・・?

ぜひ違う説を聞いてみたいです。大変興味があります。

政治とカネの問題を防止していく上でも、「維新の不祥事の多さ」はいい研究対象になるんじゃないでしょうか。

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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