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公文書館は堺に必要か

こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

先のブログで札幌市の図書館を視察した話を書きました。今回は視察のもう一つの訪問先、「公文書館」について書こうと思います。

 

図書館に比べると、ずいぶん馴染みの薄い施設だろうと思いますが、私は堺市に公文書館を設置するべきではないかと思っています。

とはいえ、私も理念として「必要だ」と思っている段階で、まだまだ勉強不足ですが、現時点で思うことをそのままに書いてみます。

公文書館って何?

公文書館は公文書館法により、

歴史資料として重要な公文書等(国が保管していた歴史資料として重要な公文書その他の記録を含む)を保存し、閲覧に供するとともに、これに関連する調査研究を行うことを目的とする施設

とされています。

 

細かいことは後ほど書くとして、「必要な施設なの?」と訊かれると、法的にはそこが微妙なのです。

 

同法によると、「国及び地方公共団体は、歴史資料として重要な公文書等の保存及び利用に関し、適切な措置を講ずる責務を有する」とされているものの、「公文書館を設置せよ」とは言っていないんですね。

 

なので、「公文書館は設置していないけど、適切に保存し利用できるようにしていますよ!」と強弁すれば、それが通ってしまうのです・・。

普通に解釈すれば館を設置するのが望ましいと取れる法令ですが、最終的には自治体の判断に任せられており、悩ましいところです。

 

札幌市の公文書館

札幌市は公文書館を10年ほど前に設置しています。廃校になった跡地を活用して設置されたものです。

 

公文書(行政文書)の書庫だけでなく、関連資料もたくさん保管されており、北海道ならではの棚もありました。

市民向けの公文書の啓発コーナーや、職員研修や市民向けのセミナーで使われる研修室もあり、

全国の自治体の市史も収集しており、堺市史もこの通り。

市史編纂も公文書館で担っているそうで、堺市も150周年に向けて更新が必要でしょうし、どの部署が担当するのか決めなければなりませんね。

 

火災発生時にはスプリンクラー・・・ではありません。大事な公文書が水でダメになりますからね。窒素ガスの防火設備でした。

このあたりは実際に拝見することで、ずいぶんイメージが確かなものとなりました。

 

公文書館設置のポイントとメリット

堺市には公文書館はなく、公文書は市役所地下3階の倉庫で保管されています。では、地下倉庫ではダメなんでしょうか?

その点を館長さんに訊ねてみました。

 

ポイントはこの3つだそうです。

・公文書がちゃんと整理され、目録がしっかりあること

・市民の閲覧スペースがあること

・要請があれば速やかに提供できること

 

なるほど、そうやって公文書が簡単に市民の目に触れられる環境を作ることが、公文書に対する信頼性を保ち、また公務員の文書作成に対する責任感にもつながるわけですね。

役所の業務が「歴史の審判に耐えうるものなのか」、何らからの不正が行われてやしないか、いつでも検証できるようにするのが公文書館の役割なのでしょう。

だから、単なる保管庫ではダメなのです。

 

札幌市ではかつての札幌オリンピックに関する資料もしっかり揃っていました。折しも、2030年の誘致を断念したタイミング。果たして、誘致そのものが適切だったのか、、そんなことの検証にも、公文書館は一役買いそうです。

また、庁内におけるメリットとして「書庫の浄化」とおっしゃっていました。

各部署でついつい溜め込みがちな公文書が、先々公文書館に持っていかなければならないことで「必然的に整理され、目録と実態を合わせるようになる」とのことです。業務の効率アップにも繋がりそうです。

 

堺市の公文書の管理状況

さて、それに対して堺市の公文書の管理状況ですが、細かい点についてはこれから調査をします。(担当課にオーダーしているところです)

 

ただ、少なくとも現時点でわかっているのは、前述の観点で言えば不十分ではないかということです。

 

地下3階の倉庫で、私も一度のぞいたことはありますが、まともな閲覧スペースはありませんでしたし、そもそも市民にその存在が知られてはいません

 

また保管という観点では、津波の浸水想定区域である堺東の地下3階ですからね。南海トラフ大地震発災時には、堺市の歴史的・文化的公文書は・・・どうなってしまうんでしょうかね?

 

札幌市の公文書館は地上ですが、1階の「書架の一番下の棚は使わない」という対応もしていました。洪水による浸水を懸念してのことです。それに比べると、、、堺市は改善の必要性がありそうです。

 

堺市で設置するとすれば

まず頭をよぎるのは予算です。

公文書館法には、「国は、地方公共団体に対し、公文書館の設置に必要な資金の融通又はあっせんに努めるものとする」とあります。

 

「融通」だけではなく、「融通またはあっせん」。

「する」ではなく、「努めるものとする」。

 

実に逃げ道の多い法令ですね。ここは国との調整が必要でしょうが、好意的に受け止めれば堺市の負担はそれほどなくて済むかもしれません。

 

つづいて、場所です。

 

札幌市では廃校跡地を活用しており、堺市でも小学校の統廃合が進んでいますから候補地は出てきそうです。しかし、大量の公文書を保管するととてつもない重さになり、建物の耐荷重がネックとなります。

札幌市の元校舎では、1階を倉庫はそれなりにフル活用できても、2階の棚はスカスカにせざるを得ず、空間の利用効率は非常に悪く思えました。

 

そういった点から、私は「中央図書館との併設」が理想的ではないかと思っています。

図書館も耐荷重が重要な施設で、同じ躯体で問題ないはずです。また、歴史の調べものをする・・といった共通項も少なくありません。

 

中央図書館の建て替え議論の中に、この公文書館も乗せてみたいものです。中央図書館の建て替え候補地の大阪女子大跡地には十分なスペースがあります。

 

堺市は札幌市よりも長い歴史を有するまちです。

市制100周年の札幌市は昭和以降の文書しか保有しておらず、北海道開拓の資料を有する北海道の公文書館に比べると利用者もずいぶん少ないとか。

堺市はあと数年で市制150周年。堺県、あるいはそれ以前の資料も多く保有しているはずです。

堺の公文書館は、歴史の審判に備えて現在の行政事務を監視すると共に、豊かな歴史を訪ねる入口の一つとして、市民に愛されるものにできるのではないか。

私はそう思っています。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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