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第2子保育料無償化は実績にあらず

こんにちは。堺市議会議員のふちがみ猛志です。

 

今回の堺市長選挙は、現職vs新人ですから、当然ながら「現職の4年間の実績」が大きな争点の一つになるわけです。

※第一声で実績を訴える永藤候補(本人Twitterより)

 

そこで永藤陣営が打ち出している「実績」を確認すると、驚くべき記述を見つけました。

 

「第2子以降の保育料無償化(所得制限なし)」です。

※各地の演説でも本人や維新議員が訴えているようです。

 

堺市の保育料無償化の経緯

堺市で多子世帯の保育料無償化がスタートしたのが、平成28年度。この時の対象は「第3子以降の0~2歳」でした。

その後、この施策は第3子の3~5歳、第2子の3〜5歳へと段階的に拡充され、最後に令和3年度に「第2子0~2歳」が無償化される予定でした。

このスケジュールは、令和3年9月までを任期としていた竹山前市長が示していたものでした。市民に約束していたわけです。

 

そして、竹山前市長が任期途中で辞職し、代わって令和元年6月に就任した永藤市長も、この無償化スケジュールを継承して実施する旨を示していました。つまり、ここでその約束の責任は永藤市長に移ったわけです。

 

しかし、無償化が実施されるはずだった令和3年4月のおおよそ半年前、永藤市長は突然この無償化を無期延期すると表明しました。

 

延期のインパクト

かからないと思っていた保育料が急にかかることになったわけですから、その影響は甚大です。

影響額はその方の所得にもよりますが(保育料は所得で決まるので)、多い方でその額年間約80万円!2年間で160万円です!

家族構成にもよりますが、年収900万円くらいの方であれば、そのような負担増となります。年収の1割近くの負担が予期せず増えたとしたら・・・。ローンは?子どもの習い事は?と、当事者の皆さんは大変な事態だったことでしょう。

 

実際にできたのかどうか

2年間の延期について、「財政危機だったから仕方ない」というのが永藤市長の言い分です。

 

ただ、それは違います。

 

永藤市長が無償化を無期限延期とした令和3年度の決算を見れば明らかです。

この年度だけで、58億円の単年度黒字です。「黒字」と言えば聞こえはいいですが、要するに「使い残し」です。さらに基金の積み増しが220億円。いずれも過去に例のない規模でした(基金については、利用目的が決まっているものも多くありますが)。

わずか7~8億円の第2子保育料無償化をやめる必要など、まったくなかったのです。

 

これを「結果論だ」と言う人もいるでしょう。

でも、政治は結果責任ではないんでしたっけ?

「お金がない」と言って貴重な住民サービスを削って、一方でそれをはるかに上回るお金を余らせた。

これが、永藤市長の判断の結果です。

 

加えて言えば、私は結果論で言っているのではなく、無期延期を決めた時から「財源はある」と言ってきました。

 

『国の状況を見る限り、間違いなく数十億円単位で(交付金が)交付されることでしょう。そこから、(無償化の)数億円を拠出することなど、わけない話です』

 

これは当時の私のブログの一文です。(カッコ内は追記。ブログで前後も含めて読んでみてください。後半にこの記述があります。)

https://fuchigami.info/%e4%bf%9d%e8%82%b2%e6%96%99%e7%84%a1%e5%84%9f%e5%8c%96%e5%bb%b6%e6%9c%9f%e3%81%ae%e6%95%91%e6%b8%88%e6%8e%aa%e7%bd%ae%e3%82%92%e3%81%a9%e3%81%86%e3%81%99%e3%81%b9%e3%81%8d%e3%81%8b/

※私の過去ブログ

そして、現実は私が言った通りになりました

 

人生への影響すら認めない姿勢

いかなる理由であれ、「無償化」と言われていたのに直前で覆された人たちは、たまったものではありません。

 

第2子の0~2歳の保育料が無償化になるということが、第2子の出産の後押しになった方、引っ越し先を堺に決めるきっかけになった方もいました。

 

そのような方にとってはハシゴを外れされたようなもので、まさに人生計画に影響が出たはずです。

しかし、永藤市長はじめ、子ども青少年局の面々は、「影響が出たかどうかはわからない」と、影響があったことすら認めないのです。

※「影響があったかはわからない」を繰り返す心ない答弁

 

年収の1割近くにもなる負担が急に発生して、影響が出ないわけありません。なんと乏しい想像力でしょうか。いや、想像はできているはずです。

今年度、2年遅れで第2子の保育料の無償化を実施しましたが、そこで堂々と「少子化対策」と言っているんです。この施策を実施することが、「子どもを産むか、産まないか」、まさに人生設計に影響が出るということを自ら語っているんです。

 

実施すればプラスの影響が出るが、実施を突然取りやめたところでマイナスの影響は出ない。

こんな理屈が成り立つはずありません。

 

ただ、マイナスの影響が出たという事実は、市長のメンツを守るために認めるわけにはいかなかったのです。

 

当事者の気持ちを想像すべき

以上のような経過をたどって、今年度2年遅れで実施された第2子の保育料無償化ですが、負担が発生した当事者にとっては、この2年間は返ってきません。

 

いくら遅れて実施しても、その間に2歳を過ぎてしまえば、もはやその人にとっては関係ない施策なのです。

 

そのような気の毒な方、2年前にハシゴを外されて人生計画に影響が出た方々の気持ちを思えば、とてもとても、「第2子の保育料無償化は私の成果です!」なんて言えないと思います。そんな皆さんは、「実績」という打ち出しを見て、どんなお気持ちになっていることでしょうか。

 

ただ、そんな当事者の皆さんは、堺市民全体から見ればごくわずかです。

たとえ、そのごくわずかな人の気持ちを逆なでしたとしても、それ以外の方に実績アピールできれば、それでよかったのでしょうか

 

そのような無神経な打ち出し、気の小さい私にはとても、とても・・・。皆さんはどう思われますか?

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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