道頓堀プールに見る、撤退する勇気
一時、話題をさらった「道頓堀プール」。
橋下市長のブレーンでもある堺屋太一氏がぶちあげた、あの道頓堀にビニールの巨大なプールを浮かべるという構想。
それが、80メートルのみ、しかも一ヶ月限定で行われることになったとか。(下記URL)
当初、これは「全長2kmのプール」とされていたが、それが800mになり、80mになり、、、驚くべきスケールダウンである。
世論もまったく盛り上がらず、アンケートを取っても「入りたい」という人がほとんどおらず、出資企業もろくに集まらず、、、
「大阪十大名物」とか、「オリンピック以上の経済効果」とか大風呂敷を広げていたわけで、もはやこれほどに規模を縮小してまで、やる必要があるのだろうか。
こういうことを見ていて、政治家の「失敗を認める勇気」「撤退する勇気」の大事さを痛感する。
これは税金が投入されておらず、民間からの出資を募ってやる事業なのだけど、「大阪が変わる!」みたいな、橋下維新の政治的宣伝に使われていた事業である。
民間主導のように見えて、実はそうではないのは明らかだ。
おそらく、わずかばかりに残っている出資企業も、彼らの政治的な支援企業が大半だろう。
このプールの期間は道頓堀クルーズがなくなったり、それなりの影響が出るわけだし、行政・警察も間接的にかなりのパワーをかなり割くはず。
やりたい民間企業が勝手にどうぞ、という話でもない。
もはや中止すべきであるし、きっと彼らも本音ではそう思ってるに違いないだろう。
だって、本来の目的の「大阪の十大名物」「オリンピック以上の経済効果」にはほど遠いのは明らかなのだから。
「中止」といえば、あれだけ喧伝したのに聞こえが悪い。だから、意地でも「開催」する。
政治的ダメージを負わないためのアリバイ作りみたいなもんではなかろうか。
そしてわずか80mのプールで、期間は一ヶ月。
スポンサー企業が、しゃかりきになってタダチケットを配ったりして動員すれば、それなりに賑わっているように見せることもできるだろう。
たぶん、そんなとこだろう。
どんなに立派な政治家も、間違うことはある。
看板政策が、実は問題が多いとわかることもある。
そんな時に「間違えてました」「撤回します」という勇気は大事だと思う。
バブルの遺産もそうして膨らんだわけだ。
道頓堀プール。
これをゴリ押しされたからといって、市民生活に深刻な影響があるわけではない。
しかし、「撤退する勇気がない」「形を変えても、目的を変えてでもゴリ押し」というのは、橋下維新の顕著な特長。
道頓堀プールですらこれだから
大阪都構想。
たとえ、「おかしい」と本当は気づいていても、撤回するわけがないよな。
都構想も(都構想こそ)、勇気をもって撤退し、地域改革政党として、一から出直して、市民と多政党とじっくり話合えば、
わりといい政策もあるし、時間がかかりながらも、やり直せると私は思うのだが。
ふちがみ猛志