都構想否決を受けて
ご存じのとおり、一昨日、大阪都構想が住民投票によって否決されました。
2010年1月に橋下知事(当時)がこの構想を提唱し、4月に大阪維新の会を結成し、それから5年。
大阪の政治はこの議論に集中し、そして振り回され、対立を繰り返してきました。
5年に及ぶこの大阪都「抗争」に、ようやく(とりあえずの)終止符が打たれたわけです。
まさに抗争だったと思います。
非常に僅差だったこの住民投票の結果からもわかる通り、大阪市民は賛成派、反対派の真っ二つに分かれました。
この間の二度にわたる統一地方選、大阪W選、堺市長選、そして住民投票。
いずれも大阪都構想の是非で激しくぶつかり合い、本質的な議論だけでなく、誇大広告、誹謗中傷、人格攻撃等、いろんなことがありました。
それは政治家だけでなく、市民レベルでもそうだったと思います(特にネット空間)。
そういう私も、例えば、「普段親しくしている人が、都構想を支持するブログをフェイスブックでシェアした」というだけで、「なんだ、この人、そうだったのか」とガッカリしてしまったり、無意識のうちに、都構想への是非だけで、敵味方を分けて人を見るようになってしまっていたのだと思います。
逆に私の知人で、「あれ、渕上は反対やったんか!既得権者の仲間か?」なんて思った方も、いたかもしれません。
こうした意識の中の溝、市民の間に入った亀裂は、しばらくは元に戻らないことでしょう。
おそらく、今後、府政・市政において、何か問題が起こるたびに、「大阪都構想であればこんなことにはならなかった。反対した奴らが悪い。」という類の主張が出てくることでしょう。公式の場から、居酒屋談義に至るまで。
ワンイシューの政治、
敵味方を決めて徹底的につぶす政治手法、
それに乗っかるメディア、
議論が熟さぬまま住民投票に持ち込んだこと、、、
言いたいことは山のようにあります。
ただ一つ言うならば、それらは、本来の「地方政治のあり方」とは、相容れないものだと思うのです。
現実の町の多様性と、二項対立の政治。
現実の市民生活と、政治のパフォーマンス。
複雑な地方政治と、単純化された報道。
責任ある議会と、市民への丸投げ。
この5年間は、たくさんの教訓がありました。
なかなかそれを語りきることはできませんが、まずは私自身が心の中に作ってしまっていた溝を埋めながら、そして、その一つ一つの教訓を胸に、しっかりと地に足をつけた市政に邁進したいと思います。
今後ともどうかよろしくお願いします。
ほんとに、言いたいことは山のようにありますが、とりあえずは、これくらいで。
堺市議会議員 ふちがみ猛志