子どもの権利条約をご存じですか
子どもの権利条約をご存じですか。
18歳未満の児童(子ども)を権利を持つ主体と位置付け、おとなと同様ひとりの人間として人権を認めるとともに、成長の家庭で特別な反故や配慮が必要な子どもならではの権利も定めている国際条約です。
1989年に採択され、日本も1994年に批准しています。
条約の中身については、このブログでは割愛しますので、ご関心のある方は、以下のリンク先(ユニセフのホームページ)をご参照ください。
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html
さて、この条約はとりわけ児童虐待などが大きな社会問題となる中、一層注目を集めるようになり、今では多くの自治体が、この条約の精神に則った条例を制定しています。あるいは、既存の子ども関係の条例を、則る形に改正しています。
例えば、名古屋市も条例改正した自治体の一つなのですが、市民向けに改正の主旨「基本的な考え方」をこのように説明しています。
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子どもの権利は責任を果たすことと引き換えに与えられるものではなく、生まれながらにして保障されるものであり、「責任」という表現は子どもの権利に関して誤解を招くおそれがあるため見直し、子どもの権利を保障するのは大人や行政の責務であることを明確にする。
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この一文を読んで、私自身、子どもの権利に対する理解が足りていなかったことに気づきました。
ついつい私たちは「権利と責任(義務)は表裏一体」だと、直感的に捉えてがちです。しかし、それはあくまでも大人の話です。
生まれたばかりの子どもには、もちろん何の義務もありません。責任や義務は、その人の成長・発達とともに、少しずつ生まれてくるものです。
子どもの権利を謳う法令に、子どもの責任があれこれ書かれているのは、たしかに子どもの権利に対する誤解を招きますし、書くべきは「子どもの権利」と、それを守るために必要な「行政の責任」「大人たちの責任」です。
そんな視点で、本市の子ども子育て施策の根拠条例となっている「子ども青少年の育成に関する条例」を見てみますと、
まず、
第一条 目的(この条例の目的)
第二条 定義(「児童」等の用語の定義)
第三条 基本理念(育成の理念)
と続きまして、その次に・・・
第四条 子ども青少年の心がけ
となるわけです!
その条文も、
子ども青少年は社会的に自立した大人へと成長するため、次に掲げる事項を心がけなければならない。
(1) (前略)…努めること
(2) (前略)…努めること
(3) (前略)…守ること
と、まさに子どもの責任・義務のオンパレード!!!
この後の条項で、保護者の責務や、学校等の責務が続いていくわけですが、真っ先に来るのが「子ども青少年の心がけ(≒責務)」とはねぇ。
繰り返しますが、謳うべきは、「子どもの権利」と、それを守るために必要な、行政や大人たちの責務です。
すべての政策・取り組みの上流には、何かしらの条例があります。その条例に「子どもの権利条約」の精神が注入されていないのならば、きっとその下流にある政策・取り組み、それを実行する職員や市民の意識の中に、「子どもの権利」が浸透することはないでしょう。
名古屋市や、少なからぬ自治体がそうしてきたように、堺市も「子育てのまち堺」を標榜するのならば、子どもの権利条約の精神に則った条例を整備すべきではないでしょうか。
わが国が批准している国際条約ですからね。
先日の「育ちと学び応援施策調査特別委員会」の質疑で、以上ようなことを(主に)指摘・提案してきました。
堺市議会議員ふちがみ猛志