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市民が政治に何を求めるのか?

先日、このようなニュースが流れました。

 

富山県議会 県内への弔電自粛

https://www.asahi.com/articles/ASJDF4WQ9JDFPUZB00Q.html

 

 

堺の方にはピンと来ないかもしれませんが、地方に行くと、政治家が競い合うように弔電を出しています。それも、知り合いでもない相手に。

 

それがあまりに非生産的だということで、富山県議会では、互いに自粛する申し合わせをしたようです。

 

 

私が石川県で国会議員の秘書をしていたのは、かれこれ8年前のことです。

そこから初めて政治の世界に入った私にとっては驚きの連続で、その中の代表格がこの弔電だったように思います。

 

事務所に出勤して真っ先にやるのが、地方新聞のお悔やみ欄の確認です。

地方新聞のお悔やみ欄には、著名な方だけでなく、ごく一般の方の訃報も掲載されます。

そして、そこで亡くなった方を確認し、弔電を出すのです。

知り合いであろうがなかろうが、関係ありません。

 

弔電を出せば、告別式で名前を読み上げてもらえる・・・、という宣伝効果もさることながら(本当にあるのか疑わしいですが)、出さなかったことにより「あの議員は弔電を寄こさなかった!」と悪く言われることを避けるための措置だったように思います。

 

「まさか、そんなことで文句を言う人がいるの!??」

 

と思われるかもしれませんが、いるのです。

わずかかもしれませんが、いるのです。

 

そして、そんな方が発する悪い噂こそ、議員は恐れているのです。

 

 

石川(や他の地方都市にもあると思いますが)では、いちいち弔電の手配をするのも大変なので、「お悔やみ欄にある名前に、すべて自動で弔電を出してくれる」というサービスもあり、私が働いていた事務所ではそれを利用していました。

それは個別に自分で出すよりも安かったように思いますが、それでも年間2、300万円にはなったと思います。

 

その費用負担がきつかったものですから、事務所近隣の葬儀場の分はそのサービスから除外し、自前のパソコンで弔意文を作り、秘書が「手持ち」することで、総コストを3割ほど削減していました。(当然、コストは浮きますが、大変な労力でした)

 

こう書くと、誰がご覧になっても「ムダだなあ、そんなことより他にやることがあるでしょ」と思われるはずです。

私も強くそう思っていました。

 

でも、それ(弔電)を政治家に求める市民が多少なりともいて、また政治家が応じないことにクレームを言う市民がごく僅かかもしれないけどいて、そして選挙に通るためには「どうしても横並びでやらざるを得ない」と考える政治家がいて、こうなってしまうわけです。

 

別に地方の市民や政治家を批判しているのではありません。

いつ誰が始めたのかわからないものの、「ライバルがやるならやらないと」と思う政治家心理はよく理解できますし、それが当たり前になると「他の政治家は皆やってくれるのに、あの政治家はやってくれないんだ」と気になるのかもしれません。特にそれが応援する政治家だった場合、応援するがゆえに「他はやってるのに!」と言ってしまう支援者心理は、よく理解できます。そしてまたその指摘を気にしてしまうことも…。

 

 

だったら、「いっせーのーで!」で辞めてしまおう!となったのが、冒頭のニュースです。

 

 

 

政治の劣化は政治家に大きな責任がありますが、それに加えて「市民が政治に何を求めるのか」にもよるのだと、つくづく思います。

 

私は「政策」と、それを実現するための「議会活動」こそが、「市民が政治家に求める一番のもの」であるべきだと思います。そして、それを求めてもらうためにも、政治家の側が率先してそれらをお示しすることが大事だと思っています。

もちろん「街頭宣伝」や、「挨拶まわり」なども大事だと思います。でも、あくまでも「街頭宣伝」は「議会活動」を伝えるための『手段』であり、「挨拶まわり」は「政策」を作るための『ネタ探し』『お困りごとのヒアリング』の一環であると思います。

 

人間性や義理人情もそれなりに必要かもしれませんから、冠婚葬祭への参列や弔電や祝電を一切否定したりはしません。

 

しかし、「見知らぬ相手への」弔電は、これらのどれに該当するものでもないと思います。

 

 

 

地方と都会ではずいぶんと政治家を取り巻く状況は違いますが、「市民が政治に何を求めるのか」が、政治の質を左右するのは日本中、いや世界中で同じです。

 

堺にはこれほどまでの弔電文化はありませんが(そもそも新聞のお悔やみ欄に、普通の市民が載らないから、したくてもできない)、「こんなことを政治に求めるかなぁ」と思ってしまうものが、全くないわけではありません。

 

私自身がよりよい「政策」の立案&提言、そして「議会活動」をするのはもちろんのこと、そのことをしっかりお示しすることで、政治家同士の切磋琢磨を生み、市民の皆様がより一層それを欲するようになり、政治への目も厳しくなり、政治の質も高まり・・、という好循環を生むことができればと、強く願っています。

 

どうかそんな目で、私の議会活動報告チラシや、街頭やSNSで発する言葉を見聞きして頂ければと思います。

 

 

ちなみに、堺市議会でも以前から、弔電や祝電の自粛の申し合わせをしています。(とはいえ、、さすがに石川や富山のような、「見知らぬ人にも全件弔電」みたいなことは、従来からなかったと思います。)

 

 

 

 

堺市議会議員  ふちがみ猛志

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