南九州で図書館をハシゴ
こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。
もう2カ月ほど前の話になりますが、宮崎県の都城市と鹿児島県鹿児島市に、それぞれ中心市街地に設置された、新しい図書館の視察に行ってきました(他、鹿児島市の最新のゴミ焼却場も見てきましたが、そちらは割愛)。

私はこれまで全国の最新の図書館をいくつも見てきましたが、この二つの図書館も、「堺市の参考になるなあ」「こんな図書館があればなあ」と思えるものでした。
今日はそのことについて書こうと思います。
図書館の集客力
人口16万人の都城市で、100万人の来館者数(併設施設込み)。
人口58万人の鹿児島市で、70万人の来館者数。
これは視察した中心部の図書館の実績です。鹿児島が見劣りするようですが、鹿児島市の場合はすぐ近くに県立図書館があってもなお、この数字です。
一方、堺市は人口80万人ですが、中央図書館の来館者数が30万人足らずです。
よりアクセスのいい中心部に、しかも最新の魅力的な図書館が設置できればどうなるでしょうか。
もし、堺東駅や堺駅の近辺に100万人が訪れるような図書館ができたならば、まちの様子は一変するだろうと思います。
全国には来館者数が100万人を超えるような図書館がいくつもあり、それを中心に据えたまちづくりをしている事例が少なくありません。
もちろん、図書館は集客力がすべてではありませんが、図書館の魅力を測る一つの指標であるのは間違いないでしょう。
徹底的に滞在にこだわった図書館
そのような集客力のある図書館の多くが拘っているのが「滞在」です。
カフェが併設されていて、本が持ち込める。
飲食OKのスペースがある。
市民活動のスペースがある。
工作や料理、音楽等の特殊な設備もある。
グループ学習できるスペースがある。
イベントスペースがある。
自主学習室がある。
子どもの遊び場がある。
子育てや起業等の各種相談機能がある。

※都城市立図書館のおべんとうコーナー
なーんて機能が、(その全部でなくとも)複数揃っている図書館もたくさんあり、そのいずれも長時間の滞在につながるものです。
しゃべれる図書館も増えていて、それも滞在を後押ししています。
ただ、「しゃべれる」と言われても、どうしても「図書館」と聞くとしゃべりにくいもの。鹿児島市で視察した天文館図書館は、同じフロアの共用スペースとの間の壁を取り払い、あえて商業施設のBGMや雑音が中に届くようにしており、「あ、いいんだ」とおしゃべりがしやすくなっているそうです。自然とそう仕向ける工夫ですね。

※開放的な鹿児島市の天文館図書館
滞在に大事なイスと堺市
滞在するにあたりイスは大事なアイテムです。
都城市立図書館も、天文館図書館も、多様なイスが揃っていました。
北欧製のおしゃれな椅子に、

階段下のデッドスペースを使った座席、

ふきぬけを見下ろせるカウンター席。

(以上、都城)
平時は読書席、イベント開催時は観覧席にもなる階段通路に、

グループで使えるつぼ型の席も印象的でした。

(以上、鹿児島)
「イス」というよりは、「落ち着ける場所」と言った方がいいかもしれません。
このような「落ち着ける場所」を多様に揃えることが、最近の図書館の当たり前になっています。電源のある席も当たり前、ソファ席とか、隠れ家のような席とか、、、他市でも色々見てきました。
一方、堺市はどうかというと、、、、
私は図書館の質疑にあたり、堺市の中央図書館に各館の座席数のデータを求めました。
すると、職員から「堺市はテーブルとイスがセットでないと座席としてカウントしていない。そのデータでかまわないか」と言われ、驚きました。
堺市の図書館の「座席」に対する考え方が、いかに画一的なのかを示すものだと感じました。先の写真で示した鹿児島のつぼ型の座席などは、堺市においては座席に該当しないわけです。実に対照的だと感じました。
印象的だった設備やアイデア
ほか、この二つの図書館で印象に残った設備やアイデアを羅列してみます。
市内産の木材をふんだんに使ったオブジェ。おしゃれですよねえ。

館内専用のバッグやカート。便利だし、これはすぐに導入できそう。

関連書籍がどこにあるか調べられるQRコード付きインデックス。便利どうかより遊び心がいい!


日本の歴史の流れと、ご当地の歴史の流れをリンクさせた書架。堺市ならかなり充実した書架になりそう!

(以上、都城)
「〇〇が主役の本」という書架。興味を引きますね!

筆談可能なレファレンスカウンター。大事なことです。

それぞれにスポンサーがついた雑誌(コーナー)。

(以上、鹿児島)
図書館というハコだけでなく、こうした中身についても色々勉強になりました。
司書の力と指定管理
こうした工夫の少なからぬ部分は、司書さんの力によるものです。
司書さんの力と言えば、切っても切れないのが「指定管理」の議論です。民間事業者にまるごと図書館の運営を任せてしまう指定管理者制度については、堺市でもよく議論になります。また、今回の都城市も鹿児島市も、指定管理者制度を導入しています。
私が印象的だったのが、都城の事業者の方(司書)との対話でした。
大きなデメリットの一つと言われがちな「司書のノウハウの蓄積」について、「昨今は自治体でも司書の雇用が安定しているわけではない」ことを的確に指摘され、事業者によって長期安定雇用がなされ、かつスタッフの司書の割合を高めていけば、その課題の多くは解消されると、自信を持っておっしゃっていました。たしかに、問題は雇用主が自治体なのか事業者なのかではなく、司書さんが長期的に安心して働けて、その図書館や地域について知識やノウハウを蓄積できるかどうかです。
私は(その他の理由も含めて)あくまで図書館は直営を軸にすべき(特に中央図書館)と考えていますが、一方で「直営だったらOK」とすべきでないのだと、強く感じるやり取りでした。
また、もう一つの課題と言える「選書」についても、こまめに行政側と協議することや、その承認を得るプロセスを設けることで透明性を確保すること、また、書籍購入の予算は、指定管理料に含めず、独立して計上することなど、都城での取り組みを聞かせてもらいました。
開設スピードと市長のリーダーシップ
この両図書館で感心したのが、検討から開設までのスピードです。
都城では、平成24年1月の中心部の百貨店が閉店し、同年11月の市長選挙で跡地活用が争点に。その選挙を経て「図書館」が事業化されていくわけですが、選挙からわずか5年5カ月後の平成30年4月にこの図書館はオープンしています。
鹿児島市も基本構想から4年でオープンです。検討開始からは6年くらいだろうと思います。
翻って堺市はどうでしょうか。
永藤市長は就任当初から中央図書館の建て替えに意欲を示してきましたが、2期8年の最終年度になっても、いまだに候補地が「候補」でしかなく、図書館の姿が見えてこない状況です。いま唯一の候補となっている「堺駅近傍」が採用され、事業化されても、これまでの答弁等によれば最短でも完成は2031年と思われます。永藤市長就任から起算すれば12年です。
市長の想いとリーダーシップさえあれば、私は今ごろ新しい中央図書館が出来上がっていたと確信しています。
果たして堺市に、他市の議員が視察に来たくなるような図書館ができるのは、いつになるでしょうか。
「いい図書館に」の思いはもちろん、それが少しでも早まるよう、引き続き議会で訴えていきます。
堺市議会議員ふちがみ猛志

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